かの有名な血の伯爵夫人のお話

バートリ・エルジェーベトを題材にしたとあらすじにあり、飛びつくように拝読。

史実も有名過ぎる残虐的な事件ですが、非常に緊張感があり、知っているからこそ恐ろしい短編。

有名なマリア像を模した処刑器具や血に染まった鉄像や管から流れ出る赤い液体。マリア像から出てきたのは、無数の穴が身体に空いた女の死体。

語り手は「女の日だから助かった」という必然とも偶然とも言える理由で助かります。が、それが終わったらあの死体と同じ様になるのでは――次の危機を予感させ、自分の命が終わるまで終わらない恐怖を感じさせます。

最後の歴史的事実の挿入により、より背筋の寒くなる結末を演出にさらに恐怖を増幅させられる。
幽閉されたエルジェーベトの3年半に思いを馳せると、彼女自身もまた恐怖の中で生き続けたのでは……?

歴史×サスペンス×ホラーが合わさった、完成度の高い作品です。