第7話

 薫は毎日のジョギングを欠かしていない。

 少しでも痩せたいからだ。

 小学校3年生まで薫は、普通体型の女の子だった。

 一哉と2人で撮った写真も一杯ある。

 だがその後、薫はどんどん太って来た。

「薫、おはよう」

 丁度、ポストから新聞を取っていた一哉と出くわした。

「おはよう」

 薫はTシャツにトレーニングパンツを履いている。

 一哉は制服に着替えていた。

 5月の朝の風は心地よい。

「頑張れよ」

 一哉は柔らかな笑顔を見せた。

 5月の陽射しのような優しさだ。

「私、いっちゃんにお願いがあるの」

「何?」

「痩せたらいっちゃんとデートしたい」

「…… 」

「今の私じゃ、余りにも釣り合わないもん」

「ああ、いいよ」

 薫は頰を熱らせた。

「本当に?」

「ご褒美デートって奴だろ?」

 一哉は笑った。

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