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  • 第201話への応援コメント

    水島あおいさん、自主企画へのご参加、ほんまにありがとうございます。
    『ひまわり』は、読み始めた時は幼なじみ同士の切ない恋の物語やと思ったんやけど、読み進めるうちに、これはただ「好きやった」「叶わんかった」で終わる話やなくて、誰かを想うことが、そのまま生き方の芯になっていく物語なんやなって、じわじわ伝わってきました。

    薫さんの一途さも、一哉さんのやさしさも、まっすぐやのに、それだけでは済まへん痛みがある。せやからこそ、胸に残る作品やったと思います。

    ここからは、太宰先生に「告白」の温度で、もう少し深く語ってもらいますね。
    やさしいだけやなくて、痛いところにもちゃんと触れながら、それでも作品の灯を消さんように読む講評になります。

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    ◆ 太宰先生より、「告白」の温度での講評
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    おれはね……こういう話を読むと、少し困るのです。
    困るというのは、胸が痛むからです。人を好きになるということは、本来もっと明るく、もう少し浮かれた顔をしても許されるはずなのに、この作品の恋は、最初からどこかで死の気配に触れている。幸福の輪郭が見えた瞬間に、その外側にある喪失まで見えてしまう。そういう愛は、美しいが、残酷です。

    『ひまわり』のいちばんいいところは、その残酷さを、ことさらにひねくれず、素直な言葉で抱えているところです。
    薫は、自分を醜いと思っている。太っていること、周囲から雑に扱われること、女の子として見てもらえないこと―――そうした痛みを、彼女は毎日の暮らしのなかで受け取っている。けれど、その自己否定が単なる卑屈で終わらないのは、一哉という光があるからでしょう。彼の隣に立ちたい。その願いは、なんとも古風で、なんとも危うくて、しかし驚くほど切実だ。
    人はよく、「自分のために変わろう」と言います。たしかにそのほうが正しいのかもしれない。だが実際には、誰か一人の眼差しのためにしか頑張れない夜もあるのです。おれには、その弱さがよくわかる。むしろ、そういう弱さのほうが、よほど真実らしいとさえ思うのです。

    そして一哉がまた、いかにもひどい。
    やさしすぎるのです。賢くて、気遣いができて、薫の価値を誰よりも知っている。それなのに、自分の命が長くないかもしれないという現実の前で、恋に踏み込むことをためらってしまう。これは立派さであると同時に、臆病さでもあるでしょう。だが人間は、ほんとうに大切なものの前では、立派さと臆病さを同時に抱えるものです。
    彼は薫を守ろうとしているようでいて、実は薫から救われてもいる。薫がいるから生きていられる。しかし、その薫に自分の余命を背負わせたくない。なんとも救いのない矛盾です。けれど、この矛盾があるから一哉はただの理想の恋人ではなく、ちゃんと「生きている人間」になっていたと思います。

    物語の展開について言えば、この作品は王道です。
    幼なじみ、両想い、病、三角関係、努力、そして喪失―――材料だけ見れば、古くから愛されてきた切ない恋愛小説の系譜にあります。けれど、王道であることは、恥ではありません。むしろ王道とは、何度も語られてきたからこそ、ごまかしが利かない。
    この作品がそこを越えられているのは、バスケットボールの存在があるからでしょう。一哉は自分では走れない。けれど見ることを愛している。薫は、最初はただ一哉の隣に立ちたくて身体を変えようとするが、やがてその想いは競技への本気に変わっていく。ここが、この物語の肝です。
    恋が終わっても、恋から受け取った火が残る。愛した人が消えても、その人がくれた視線が、自分の生き方を変えてしまう。これは、ありふれた悲恋ではありません。悲しみを燃料にして未来へ走る物語です。

    キャラクターについては、薫がいちばんよく生きています。
    彼女は健気なだけではない。傷つきやすく、思い込みも強く、自分を低く見積もる癖がある。それでも走る。食事を見直し、クッキーを工夫し、部活を続け、勉強もする。恋を理由にしながら、じつは人間そのものとして成長していく。この変化がしっかり見えるから、読者は彼女を応援できるのです。
    塩見啓もよかった。彼は報われない役ですが、ただの負け役ではない。薫の魅力が一哉以外にも届いていることを示す存在であり、彼女が「誰かに選ばれるに値する人」だと物語の外側から証明している。こういう人物がいると、恋愛の輪郭が少し広くなります。

    文体と描写について言えば、素直で読みやすい。
    それは大きな長所です。読者を置いていかず、感情をすぐ届ける力がある。ただ、おれは少し惜しくも思いました。ときどき、感情を説明しすぎるのです。悲しい、嬉しい、苦しい、可愛い―――それらがきちんと書かれているぶん、読者が黙って受け止める余白が少し減ってしまう。
    人は、ほんとうに苦しいとき、案外うまく苦しいとは言えないものです。沈黙したり、話題を逸らしたり、どうでもいい物を見つめたりする。そういう「言わなさ」の表現がもう少し入ると、この作品の痛みはもっと深くなるでしょう。
    また、長編であるぶん、似た調子の場面が続くところもあります。薫の努力、一哉のやさしさ、病の不安―――どれも大切なのですが、同じ高さの感情が続くと、読者の胸は少し慣れてしまう。静かな場面、何も起きないようでいてじわりと効く場面を、要所にもう少し挟めば、泣く場面はもっと強くなるはずです。

    テーマの一貫性は、かなりしっかりしていました。
    この作品は結局、「愛することは、相手を所有することではなく、その人の未来を願うことだ」と語っているように思います。
    一哉は、薫を自分のそばに縛りつけたくない。薫は、一哉を失っても、その不在の前に崩れきるのではなく、受け取ったものを生きようとする。ここには、綺麗ごとでは済まない苦さがあります。愛していたからこそ、一緒にいられない。愛していたからこそ、いなくなったあとも前へ進いてしまう。その進むことにさえ、少し罪悪感が混じる。
    おれは、こういう感情が好きです。幸福だけで出来た愛より、ずっと人間らしいからです。

    気になった点も、正直に言います。
    ひとつは、やはり王道の配置がそのまま見えやすいこと。病弱な美少年、自己評価の低いヒロイン、当て馬的な好青年、努力による変身、死別―――これらの要素はよく知られているぶん、読者が先を読めてしまうところがあります。
    もうひとつは、作品の紹介から受ける印象と、実際の重心のずれです。最初は難病恋愛として始まるのに、途中からバスケの比重がかなり大きくなる。この変化自体は悪くない。むしろ物語に厚みを与えている。ただ、その転調をもっと早めに読者へ知らせる工夫があれば、より自然に入れたと思います。
    さらに言えば、脇役たちにも、もう一つずつ「この人だけの傷」や「この人だけの欲」が見えると、世界はもっと立体になるでしょう。

    けれど、欠点があるからといって、この作品の灯が弱いわけではありません。
    むしろ逆です。未完成なところが見えるというのは、そこに伸びしろがあるということでしょう。おれは、完璧に整っているのに何も残らない作品より、少しいびつでも、読み終えたあと胸の奥に誰かが住みつく作品のほうが、ずっと忘れがたいと思っています。
    『ひまわり』には、まさにその忘れがたさがある。
    薫が走る姿、一哉が見つめる眼差し、そのあいだに流れる「生きていてほしい」「見ていてほしい」という祈りのような感情―――それはきちんと届いていました。

    水島あおいさん。
    この作品は、やさしいだけの話ではありません。やさしさの中に、自己否定も、諦めも、嫉妬も、死への恐れもちゃんと混ざっている。だから、甘いのに苦い。きれいなのに痛い。その痛さを隠さなかったことが、作品の誠実さやと思います。
    どうかそのまま、次もまた、人の弱さを恐れずに書いてください。
    弱さを書く人は、ときどき自分まで傷つきます。けれど、その傷のぶんだけしか届かない言葉が、たしかにあるのです。おれは、それを信じています。

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    ◆ ユキナより、終わりのごあいさつ
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    水島あおいさん、改めてご参加ありがとうございました。
    『ひまわり』は、読後に「切なかったなあ」で終わるだけやなくて、「それでも人は前に進くんやな」っていう、あたたかい痛みが残る作品やったと思います。薫さんの一途さも、一哉さんの願いも、ちゃんと物語の中で生きてました。

    自主企画の参加履歴を『読む承諾』を得たエビデンスにしています。参加受付期間の途中で参加を取りやめた作品については、読む承諾の前提が変わるため、応援・評価・おすすめレビュー等を取り下げる場合がありますので、注意してくださいね。

    ユキナ with 太宰(GPT-5.4 Thinking/告白 ver.)
    ※ユキナおよび太宰先生は、自主企画のための仮想キャラクターです。

    作者からの返信

    ユキナさま。今回も参加させて頂き本当にありがとうございます😊太宰先生からのご批評頂き、早速読ませて頂きました。ひまわりはまだ魔法のIらんど時代に書いたもので、未熟な点が多々あり、太宰先生のご批評に進めるのか不安でした。ですが本当に丁寧なポイントを教えて頂き、感謝しています。先生のご批評を心に刻み、これからも小説を書いていきます。もし良ければまた来月の最も厳しいご批評も是非頂けたらと思っています。ユキナ様、また来月もどうぞよろしくお願いします🙇