世界にダンジョンが出来たので、僕もダンジョン攻略配信をしてみようと思います。
蜂鳥タイト
一章 日本ダンジョン攻略編
第1話 ダンジョンが出来ました
「ダンジョン? あ~……僕興味ないかも、ごめん」
僕は、サイトでとあるVRゲームのことを調べながら、友達の顔を見る。
ダンジョンとは、約十年ほど前に突如現れた謎の洞窟で、そこにはたくさんの敵・アイテム・宝箱が設置されるらしい。
それも全て自然生成で、原因は何かわかっていないそうだ。
ちなみに友達の名前は、
僕と同じゲーム好きなのだが、結構ハードなゲームが好きで、スリルとかを求めがちなのだ。
僕とはまた少し違う。
「お前って本当にVRゲーム好きだよなぁ~俺もだけど。けど今はダンジョン攻略だな!」
「面白いもんね、死ぬこともなければ、痛みを感じることもないんだし」
僕はジト目で綾斗君の顔を見る。
僕は本当にダンジョンになんて興味が無い。
「わかってないなぁ!
「え〜……でもなぁ……」
僕の名前は
僕がVRゲームでやってるのは銃を使う対人戦ゲームなので、そもそもモンスターとあまり戦わない。
ここで少し綾斗君とはズレるのだが、まぁ、結構仲良くやっている。
「見ろよこれ! もらったんだぜ! ダンジョン管理人からな! ランクあるだろ? これが討伐の経験値で階級が上がっていくってよ!」
綾斗は何やらカードを僕に見せてくる。
そこにはこう書いていた。
サクト【ランクE攻略者】
:武器。片手剣【プラチナソード】
:スキル。索敵・敵視認・移動速度アップ・攻撃力アップ・ドロップ増加弱
へぇ~、つまり自分が倒した敵に応じて階級が上がるというわけか……
そう聞くと面白そう? な感じもする。
「あとはダンジョン配信って言うのが、最近流行っているらしいぜ」
綾斗が、指輪に手を当てると、綾斗の前にモニターが現れた。
このモニターは、学校入学時に全員に配布される、指輪型のAR機器によるものである。
この指輪はとても便利で、指輪の上についている指紋認証システムにより、画面を映し出したり、できるらしい。
ちなみに画面の内容は、自分しかわからない。
「これだよこれ!」
と言って綾斗は画面を僕の方に向けた。
画面には、ダンジョンで剣を振り戦っている一人の女の子が映っていた。
ちなみになぜ見られるのかというと、見せる本人が許可をすると僕も見られるようになるらしい。
「まぁ、とりあえず、お前もやってみようぜ! 配信用ドローン買えばなんとかできるだろ!」
「それはそうなんだけど……」
キーンコーン……
僕が言い終わる前に学校が終わるチャイムが流れた。
綾斗君ははっと目が覚めたように立ち上がる。
「俺はこれから友達とダンジョン配信に行くぜ! 強羅も早く来いよ!」
「あっ……ちょっと綾斗君」
そういって走って行ってしまった。
本当に綾斗君は楽しいことには目がない。
うーん……ダンジョン配信か……嫌だなぁ……
まぁお試し……お試しとして一回だけ行ってみようかな……
僕は早速、ドローンを買いに電気屋さんに向かっていくのだった。
【
ドローンを買い家に帰ると、僕はモニターでとある配信者のライブ映像を見る。
どんな感じに攻略をしているのか、配信をするのかを確認するためだ。
『皆さん! おはようございます! 冬紀サリアです! 今日も楽しくダンジョン攻略していきましょう!』
冬紀サリアと名乗る女の子は何やら洞窟の前で自己紹介をしていた。
:きたー!!
:アイドルのダンジョン攻略!!
:それにしてもかわええなぁ!
:気を付けてね!!
『はい! 皆様たくさんのコメント本当にありがとうございます! そしてこの度報告があります! なんと! この私、冬紀サリアは攻略者ランクEに昇格しましたー!』
:おおお! おめー!
:めちゃ頑張ってるなぁ
:ランクEおめでとう!
『ということで! 今日は中層に潜っていきたいと思います!』
サリアは杖を持つ。
その杖は、水色でとてもキラキラしている。
そして、杖の先には何やら、青色の球体が付いていた。
:ダンジョン資料にないぞ……レア武器じゃねえか!?
:いつの間に取ったんだ!?
:レア武器使いってそんなにいないよな?
:↑確認されてるだけでまだ五人だった気がする。ちなみに全員Aランク超えてるガチ勢
:Aランクでもついにレア武器使いが……
一方その頃。
僕は家に帰り、続けて冬紀サリアさんのダンジョン配信の動画を眺めていた。
本当に、楽しそうにモンスターと戦っている。
「アイドルもすごく楽しそうに配信してるなぁ……」
僕は隣に置いているドローンを見る。
ダンジョン配信……家の近くにダンジョンがあるので、行ける距離ではあるのだ。
まぁ……もうたくさんの攻略者が討伐しているのだが……
「仕方ない……明日カード作りに行くかぁ」
次の日。
僕は学校の帰りにダンジョン管理局に向かった。
「初期攻略者講習お疲れさまでした。はい、どうぞ! こちらが攻略者カードとなります! ダンジョン配信はされますか?」
「あ、どうもありがとうございます……はい。タウラって名前で一応するつもりです」
「わかりました攻略者カードに書かせていただきますね」
僕は頷いた。
とりあえず、これでダンジョンには潜れる。
【攻略者カード】いわば、ダンジョン管理局が作ったダンジョン攻略許可証みたいなものだ。
ダンジョン管理局本部に来ないと入手は出来ないのだが……
ちなみにこのカードがない状態でダンジョンに入ってしまうと、捕まって、刑務所に入れられるので注意が必要である。
「かしこまりました。それでは行ってらっしゃいませ。攻略者さんが増えて助かります」
「まぁ今回はあくまでも様子見だけど……次攻略するか分からないし……」
「それなんですが……これからもダンジョン攻略をしてくれませんか? 今人手が足りなくて大変なことになっているんです……このまま続けば地上の住むところが無くなってしまいます」
「自衛隊とかは?」
頭を下げ説明を始める。
その内容は、旧日本自衛隊を含む、世界中の軍隊も攻略に乗り出していること。
しかし、ダンジョンの生成速度が異常に早く攻略速度と生成速度が追いついていない。
というのが現状らしい。
この状態が続けば、徴兵令を出すことも視野に入れているらしい。
「あと、エミレンさんの不死の魔法も無限じゃなくて、効果を完全に発動するのが十代前半から二十代後半の間なのです。三十越えてくると必然的にダンジョン攻略者を辞めなければ行けませんし、十五歳未満は攻略禁止となってます。旧日本の自衛隊含む、軍隊の皆さんはプロですので、特別に三十代以降の攻略も許されています。しかし、本来ならば十五歳から二十代後半までの人達が攻略しないといけないのです。不死魔法の効果が乗りますからね」
「そういう事ですか……つまり今の僕なら安全と?」
ギルド職員は大きく頷く。
「はい、あなたには不死の効果が乗ります。あ、それと配信も必ずして欲しいです。 他の人たちはまだダンジョンは危険なものって思ってますので攻略者になる人が少ないのです。なのでダンジョンは死なないってことを配信で伝えて欲しいのです。あとは……色んな敵と戦ってるから戦い方も見て覚えてくれるだろうし、初見にならないはずですし……これでどんどん攻略者を増やしたいと考えています」
「わかりました……でも配信して僕にメリットってありますか?」
「メリットとしては、ダンジョン配信者は、攻略者を増やし国に貢献してくださいます。なのでこのカードを見せると病院無料、飲食店全て半額、また全ての店舗での買い物が半額の特典が着きます。それと攻略者ギルドから追加でお金も支払われます。お金の量は、視聴者数によって自動的に登録されている口座に振り込まれますよ。またこのお金は副職には該当しないので税金も取られません。かなり優遇されます。あとは不正防止のために最低でも一週間に最低四日はダンジョン攻略配信をしてください。学校はダンジョン管理局から休む手続きをしておきます。何曜日なら行けますか?」
「わかりました……土・日・月・火でお願いします」
「かしこまりました。それでは学校名を記入してください」
僕は資料に学校名を記入する。
「かしこまりました。それでは明日からですね。ダンジョン攻略配信頑張ってください! 配信忘れると優遇されませんので気を付けてくださいね!」
「あ、そうそう、でも経済とか大丈夫なの?」
「問題ありません。ちゃんと学校の卒業は休んだ分伸びます。それでしっかり同じ分の勉強はしてもらいます。ダンジョン配信者に関しては、攻略者全体の十%までなら許可していますね。それ以上になるとダンジョンでの配信は禁止にしています。あとは初期攻略者講習を受けた者しか許可は出しません。このカードは初期攻略者講習終了のいわば免許証です。明日ダンジョン配信者講習を受けてくださいね」
ちなみにダンジョンは、元々危険と呼ばれ、エミレンさんが断固として【入るな】と言っていたいわゆる洞窟である。
そこからエミレンさんの決死な努力により、ダンジョン内部では【不死】になる魔法を作ることに成功した。
よってこの世界のダンジョンでは、いわゆるゲーム感覚で望んでいる人も多い。
とはいえ、死なないとはいえ痛みはある。それに恐怖感もあるので、やらない人は多い。
ひとまずダンジョン経営ビルから出ると、外に設置してある箱に入った。
そして僕は、自分の家の住所を指定し、中にあるモニターに手を乗せる。
〈手相認証完了しました。強制転移を開始します〉
機械音声の後、白い光が包まれたと思った瞬間、目の前には僕の部屋が現れるのだった。
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