第8話
花は、メアリーに電話をし、研究所を訪ねた。
地球惑星物理学を学んでみたいが、家庭教師が見つからない。何か伝手はないかと聞いた。
「地球惑星物理学か。少し、時間がかかるけど、いいかな」
「はい」
「何が研究したいの」
「風です」
「なるほど」
「生徒は、27歳になる中卒女子だと言ってください」
「わかった。もう、探したけど、見つからなかったってことね」
「はい。雪乃さんが頑張ってくれましたが、引き受けてくれる人はいませんでした」
「そう」
「逆の立場でも、そんな受験生を合格させるのは難しいと判断したと思います」
「ふふ」
「何です」
「ほんと、あなたはユニーク」
「ですよね」
「でも、私、そんなあなた、大好きよ」
「ありがとうございます」
1か月後に、地球惑星物理学科の大学生が、花を訪ねて来た。
「高田佐紀と言います」
「石井花です。こ足労、ありがとうございます」
「最初に申し上げておきます。教授命令ですから、来ましたが、あなたを合格させるという約束は致しかねます。それでも、いいでしょうか」
「構いません」
「どうして、地球惑星物理学なんですか」
「風の研究がしてみたいのです」
「気を悪くされたらごめんなさい。なぜ、風の研究なんです」
「風が好きだからです」
「それだけですか」
「はい」
「風の研究をして、何がしたいのですか」
「まだ、わかりません。何かしたいと思っています」
「失礼ですが、私には、お嬢様の気まぐれに聞こえるんですが、そうなんですか」
「お嬢様ではありませんが、気まぐれと言われれば、そうなのかもしれません」
「気まぐれで、地球惑星物理学ですか」
「はい」
「高検に合格したと聞きましたが、そうなんですか」
「はい」
「27歳だと聞きましたが、そうなんですか」
「はい」
「不躾な質問ばかりでごめんなさい。合格すると思っています」
「合格したいと思っています」
「無理だと言ったら、どうします」
「頑張ります、と言います」
「では、別の質問をします。どうして、高校へは行かなかったんですか」
「忙しくて、行けませんでした」
「忙しかった」
「はい」
「どうして、忙しかったんです」
「作曲と歌手をやっていましたから」
「作曲と歌手、ですか」
「はい」
「あなたの歌手名を聞いていいですか」
「花、です」
「花さん」
「はい。ご存知ないと思います。歌っていたのはイギリスですから」
「イギリス」
「はい」
「では、あのfarを歌ったHANAってあなたですか。あら、確かに、動画で観た人だわ」
「farを知っててくれたんですか」
「知ってます。HANAの曲はよく聴きます」
「では、Breezeのあなた、聴いたことありますか」
「あのフルートの」
「はい。あの曲の作曲者の向井恵は私です」
「驚いた」
「でも、このことは内緒にしてくださいね。私の作曲家生命に影響しますので」
「その花さんが、どうして、地球惑星物理学なんですか」
「先程答えましたが、風を研究したいからです」
「ごめんなさい。話がわかりません」
「ですよね」
「では、風の研究がしたいということは、棚に上げておきましょう。高校に行けなかったことも、棚に上げます。理系の学科の場合、どの科であっても基本は数学です。中学の時、数学は好きでしたか」
「普通です。嫌いでもなく、好きでもありませんでした」
高田は、紙とペンを取り出し、その場で数式を書いた。
「これ、解いてくれますか」
「はい」
高検の受験勉強をした時の数学の問題と同じような数式なので、花は、簡単に答を出した。
「では、もう一問、お願いします」
「はい」
高田は、本を見ながら、次々と問題を出し、花は、答を出した。
「数学の知識は、充分だと思います。イギリスにいたんですから、英語は大丈夫ですね」
「会話は何とかできますが、文法は苦手です」
「中学の時、国語は好きでしたか」
「普通です」
「中学の時の通知簿ありますか」
「はい。多分」
「探してみてもらってもいいですか」
「ちょっと、待ってください」
花は、自分の部屋に戻り、通知簿を探してきた。
「拝見します」
「どうぞ」
「三年生の時の成績が落ちていますが」
「忙しくて」
「でも、優秀な成績だと思います」
「ありがとうございます」
「大学入試の模試は受けたことありますか」
「いえ、ありません」
「来年、受験するつもりですか」
「できれば」
「何回失敗しても、続けますか」
「いえ、3回が限度だと思っています」
「でも、3回は挑戦するということですね」
「はい」
「わかりました。引き受けてみようと思います」
「ありがとうございます」
「今、お仕事は」
「作曲の仕事はしています」
「それだけですか」
「はい」
「歌手は」
「しません」
「では、作曲の仕事に、何時間使っていますか」
「計ったことはありませんが、多分、10時間か12時間だと思います」
「作曲の時間が無くなってもいいですか」
「できれば、作曲も受験勉強もやりたいです」
「花さんは社会人ですから、仕方ないと思いますが、それでも、作曲の仕事にかける時間はかなり減らしてもらう必要があります。それは、大丈夫ですか」
「頑張ります」
「私、あなたに合格してもらいたいと思います。伺った時は、お断りする材料を探していたんですけど、今は、あなたの夢に、風の研究に、付き合いたいと思っています。自分でも、驚いています」
「よかった、です」
「最初は、随分失礼なことを言ったと思います。ごめんなさい」
「とんでもありません。有難い、と思っています。とても、一人ではできませんから。ただ、今、お話しした内容は、是非、内密にお願いします。いろいろと微妙な事情があって、厄介なことになりますので」
「わかりました。家庭教師に徹します。週に1回、一回は4時間でいいですか」
「はい」
「宿題は、必ずやってください」
「はい」
「で、バイト代ですが」
「相場が分かりませんので、機密保守料込みで、月額20万円でよろしいでしょうか」
「えっ」
「少ないですか」
「いえ、充分です。随分高い機密保守料ですね」
「はい。そう思っていただけると嬉しいです」
「話、聞かなかったことにします。さっきまで、サインなんか貰っちゃおうかな、なんて考えていましたが、やめます」
「ありがとうございます」
「一つ、お願いしてもいいでしょうか」
「はい」
「バイト代、できれば、現金で頂けると助かります」
「いいですよ。雪乃さーん」
台所から雪乃が顔を出した。
「紹介します。家庭教師をやっていただく高田佐紀さんです。そして、彼女はマネージャーのような仕事をお願いしている道中雪乃さんです。勉強以外の事は、雪乃さんに言ってもらえば、大丈夫です」
「道中です」
「高田です」
「何でも言ってください。送り迎えが必要なら言ってくれれば、どこへでも行きます」
「とんでもありません」
「高田さんは、バイト代、現金がいいと言っています」
「了解です。当然の要求だと思います」
「ありがとうございます」
家庭教師が決まり、花は一息ついたと思った。わくわくする。
「もう少し、伺ってもいいですか」
「はい」
「花さんは、風の研究をしたいと言いました。その理由を教えてもらえますか」
「理由ですか。多分、説明できるような理由はないのだと思っています。好きだから、では理由になりませんか」
「では、どうして、好きなんでしょう」
「それも、わかりません」
「好きなのは、風だけですか」
「いえ、私は、風、空、雲、森、平原、川、自然そのものが好きみたいです」
「なるほど、だから、自然科学の勉強がしたいと思ったんですか」
「自分でも、よくわかりません。ただ、夢見てるだけなのかもしれません。でも、何かが知りたいし、自然には、その何かがあるような気がするんです」
「きっと、あります。私も、同じような気持ちで、入学しました。知りたいことが一杯あり、どんどん、増えていきます」
「私、多くの曲を作ってきましたが、その曲から感じるものは、いつも、自然なんです。ですから、曲を分類する時、私が感じた自然の名前を付けています。例えば、風の20番目の曲とか、森の8番目の曲のように」
「だから、あなたの曲は、どれも優しいんですね」
「そう、感じてくれたら嬉しいです」
「ぜひ、合格してください。私達と一緒に研究してください」
「がんばります」
花の受験戦争が始まった。
今度の二足の草鞋も簡単ではない。睡眠時間を削る程度では無理なのかもしれない。
増田に会うことにした。
「受験勉強を始めます」
「ついに、ですか」
「お願いがあります」
「はい」
「曲作りはしますが、Breezeの仕事は難しいと思います。増田さんにお願いしてもいいですか」
「曲の提供を約束してくれるのなら、私にどこまでできるかわかりませんが、出来る限りやります。メンバーも自立し始めています」
「ありがとうございます」
「でも、何があるかわかりません。どうしても、あなたの力が必要になるかもしれません。その時は、相談に乗って欲しい。もちろん、極力、私達で何とかします」
「その時は、Breezeの解散も視野に入れてください」
「解散ですか」
「はい」
「そうですか。だとすると、曲の提供も難しくなる日が来る、ということですか」
「そこは、頑張りたいと思います。でも、以前も話したように、私の曲以外の道を作ることは必要だと思います」
「私も、あの話の後、それなりに調べてみましたが、簡単ではありません」
「3人に、曲を作れ、と言ってください。Breezeの存続に影響するのであれば、何か生まれるかもしれません」
「言ってはいるんですが、出て来ません」
「私を悪者にしても構いません。Breezeを続けられなくなってもいいのか、と脅してください。切羽詰まれば、何とかするかもしれません」
「やってみますが、それでも、曲だけは、お願いします」
「増田さん。あなたが考えを変えてくれなくては、Breezeは立ち往生しますよ。突然、私が、明日から曲の提供はしないと言ったら、どうするんですか。そんなことは起きないんですか。私は、今日でも、そう宣言することはできるんですよ。どのグループもメンバーが作詞と作曲を自分達ですることで存在しているんです。曲を他人に頼っているグループはBreezeくらいのものです。続けたいなら、メンバーによる曲作りは不可欠です」
「・・・・」
「増田さんがやらないのであれば、私が3人に話しましょうか。今後、曲の提供はしないと言ってもいいんですか」
「それは」
「私が言えば、最後通告になりますよ」
「私から、話します」
「お願いします」
増田は、「優しい音楽を守りたい」と泣けるようなことも言うし、優秀なビジネスマンだと思うが、時々、苛立ちを覚える。音楽という商品の場合、曲と詩がなければ商品にならない。しかし、音楽会社に音楽を持ち込んでくるミュージシャンは、曲と詩を持って来るので、あって当たり前だと思っているところがある。その点では、キャサリンは、常に曲と詩に敬意を払っていたし、大切にしていた。
もしかすると、増田は、永く付き合う相手ではないのかもしれない。
時間割を作ると、曲作りの時間は、日曜日の半日しか取れなかった。毎日曲作りをしていた時は感じなかったが、1週間あけると、効率も落ちた。いつの日か、Breezeに提供する曲に困る日が来るかもしれない。
睡眠時間を削って勉強したが、6教科8科目は厳しかった。
最初の年の共通テストでは、惨敗だったので、どの大学へも願書は出さなかった。
花も高田も、半年で何とかなるとは思っていなかったので、落胆はない。
年間、月間、週間スケジュールを二人で作り、模試も多くスケジュールに入れた。
8月からは曲作りの時間も削った。
偏差値は、順調に上がっている。
12月には、手ごたえを感じていた。
今回は受験することを決めた。
そして、1月。
全国共通テストで、納得の成績が証明され、花は、2次試験に備えた。
2次試験の三日後、花が倒れ、1週間寝込んだ。
ベッドからは離れられるようになったが、以前のような元気が出ない。
貧血で眩暈もする。いや、眩暈は以前からあった。
だから、受験勉強の疲れだと思っていた。
「具合、悪そうだな」
父が心配そうな顔で言った。
「さすがに、疲れました。歳なんですかね」
「よく、頑張ったと思う。入学式は元気で行きたいだろう」
「まだ、合格とは決まっていませんよ」
「じゃあ、合格していたらだ」
「はい」
「一度、病院に行ってみたほうがいい。念のためだ」
「大丈夫ですよ」
「それでも、行ってみろ」
父には逆らえない。
「わかりました。そうします」
母が一緒に行くと言い出した。
「母さんも仕事あるんだし、一人で大丈夫。雪乃さんもいるし」
「それでも、行く」
「もう」
ただ、父と母にここまで心配されると、何となく違和感を感じていた花は、自分でも心配になる。
「じゃあ、よろしくお願いします」
「馬鹿ね、当たり前じゃない」
翌日も、体調は悪かった。受診手続きは母がやってくれて、花は車内で待っていた。体調の悪い花を気遣ってか、雪乃も話しかけてこない。
雪乃の携帯が鳴った。
「花さん。行きますよ」
「わかった」
「私の背中に乗りますか」
「馬鹿、言わないで」
それでも、花は、雪乃の腕に手を伸ばした。ふらつく。
診察室での問診の後、尿検査、血液検査、心電図、レントゲンと検査の梯子をして、それぞれの検査の待ち時間もあって、もう、へとへとだった。
待合スペースの後方の椅子で、花は、堪らず横になった。
昼過ぎになって、やっと、順番が来た。横になっていたからか、少し、元気が出てきて、歩いて診察室に入った。
「お母さんですか」
「はい」
「このまま、検査入院してもらいますが、いいですか」
「検査入院」
「もう少し、精密な検査が必要です。もちろん、強制ではありません」
「この子は、何の病気なんですか」
「まだ、わかりません」
「では、何が問題なのですか」
「断定はできませんが、急性骨髄性白血病の疑いがあります」
「はっ」
母が固まってしまった。物理的に、そう見えた。
急に立ち上がったと思ったら、その場に崩れ落ちた。横にあったキャビネットに頭をぶつけて大きな音がした。
診察室の中が騒然とし、花も身動きが取れなかった。
花も立ち上がれずに、車椅子に乗せられ、母はストレッチャーに乗せられて、移動した。雪乃が飛んできた。
「父さんに連絡して」
そう言うのが精一杯だった。
花は、ベッドに横になると、引き摺り込まれるように眠った。
目が醒めたようだ。
雪乃の顔が見えた。
「ここは」
「病室です」
「母さんは」
「別の病室で、休んでいます。ご主人が付いていますので安心してください」
診察室での事を思い出した。
「母さんは、大丈夫」
「気を失っただけだと思いますが、私、奥様とは、まだ、話していません」
「そう」
看護師が部屋に入って来た。雪乃がブザーを押したようだ。まだ、ブザーを握ったままなのは、雪乃も動転しているらしい。
「目、覚めました」
「はい」
「気分、悪くはないですか」
看護師は、花の手を取って脈を読んでいる。
「先生に連絡しますので、少し、待っててください」
「あの、母は」
「ごめんなさい。私、この階の担当なので。先生がみえたら、聞いてください」
「はい」
5分ほどして、診察してくれた医師が部屋に来た。
「気分は、どうですか」
「今は、大丈夫です。母は」
「お母さんは、下の階で安静にしておられます。鎮静剤を投与しましたので、今は、眠っています。よほどショックだったようで、気を失ったようです。倒れた時に少し頭を打って腫れていますが、心配するような怪我ではありません」
「そうですか。ご面倒かけて、すみません」
「あなたは、心配しなくても大丈夫。ご主人が来てくれていますから」
「はい」
「あなたは、ここで、安静にしておいてください」
「はい。あの、母の病室は」
「1005号室ですが、あなたが行かないほうがいいと思います」
「はい」
医師が部屋を出ていった。
「雪乃さん。私は大丈夫だと父さんに伝えてくれる」
「はい。そうします」
暫くして、父が1人で部屋に来た。
「雪乃さんは」
「真琴の横にいてもらってる」
「どう、母さんは」
「まだ、話はできていない」
「そう」
「何があった」
「私も、よくわからない。先生が検査入院を勧めて、急性骨髄性白血病の疑いがあると言ったら、とても驚いて、急に立ち上がって、そのまま、気を失った。先生は心配ないと言ってた。頭ぶつけて腫れているだけだって」
「そうか。どうしたんだろう。真琴は、どうして驚いたんだろう」
「わからない」
「花は、心配しなくていいから。検査受けて、今は安静に」
「でも、白血病って、危ないんだよね」
「まだ、何もわかっていない。心配は、もう少し先に取っておこう」
「はい」
翌日から検査が始まった。
もう、まな板の上の鯉状態だった。
「雪乃さん。戻って、少し休憩してください」
「私は、大丈夫です。体力だけはありますから」
「ですが、目にくま、出てますよ」
「平気です」
父が病室に来た。
「母さんは、どう」
「まだ、怯えている。何も話してくれない」
「そう、どうしたんだろう」
「家に連れて帰るよ。ちょっと、時間がかかるかもしない」
「私は、大丈夫だから、母さんの事、お願いします」
「わかった」
「雪乃さんも連れて帰ってくれます。私は、看護師さんもいますので、大丈夫」
「ん」
「私は、ここにいます。いや、いさせてください」
「わかった。雪乃さんには、ここにいてもらう。私も、その方が安心だ」
「ごめんなさい。こんなことになってしまって」
「馬鹿言うな。花は何も悪くない」
検査の結果は直ぐに出るものだと思っていたが、時間がかかった。
体調は楽になっていたので、父と二人で、小さな会議室で医師の説明を聞いた。
医師が二人座っていて、看護師が一人、立っていた。
「こちらは、専門の葛城先生です。出張中でしたので、結論に少し時間がかかってしまいました。先生から説明してもらいます」
「よろしく、お願いします」
二人で頭を下げた。
「驚かれたと思います。名前に吃驚しますよね」
「はい」
「あなたの病名は、急性骨髄性白血病です。でも、今は治療法もありますし、それほど恐れる病気ではありません。もう、白血病は不治の病ではないのです、ただ、治癒率はまだ高くありませんので、慎重な治療が必要です。中でも、患者さんの気持ちが折れることが一番困ります。あなたが希望を持つことが、大きな治療です」
「はい」
「少し落ち着いたら、退院できますからね」
「ありがとうございます」
倦怠感やふらつきはないが、元気溌剌とは言えない状態が続いた。それでも、容赦なく、音は降ってくる。雪乃が持ってきてくれた五線譜に書き取る作業は、いつもと同じだった。
「元気そうじゃないか」
「お兄ちゃん」
「花は、頑張り続けて、少し、やり過ぎたんじゃないか」
「かもね。お店は大丈夫なの」
「心配ない」
「母さんは」
「だいぶ、元気になった。まだ、ここに来るのは、父さんが止めている」
「母さん、どうしちゃったんだろう」
「あのな、母さんの叔母さんが、昔、白血病で亡くなっているらしい。母さんが中学生の頃だから、随分昔の話だけど、母さん、父さんの事もあって、誰かの死には敏感だから、それに、突然だったから、ショックが大きかったんだと思う。俺は、母さんは肝っ玉母さんだと思っていたから、びっくりしたけど、普通の人で、どっか、安心した」
「そう」
「それとな、俺には実感ないけど、先立つ不孝って言葉あるだろう。子供の死は想像以上に大きいのかもしれない。母さん、生きてることが親孝行だと言ってた。だから、花も、生きてくれ。母さんのためにも、俺のためにも」
「そうだね」
「ごめん。俺、不適切発言してたな」
「なに、それ」
「病人の前で死を乱発してた」
「平気よ。でも、母さんの前では控えたほうがいいかもしれない」
「そうだな、気を付けよう」
「忙しいだろうけど、母さんの様子見に行ってあげて」
「そうする。お前、何か欲しいものあるか」
「そうね。招待状かな」
「なんだ、それ」
「お兄ちゃんの結婚式の招待状」
「おう、頑張る」
「母さん、気にしてたよ」
「そうか」
「うちの子は二人とも、仕事、仕事、で困ったもんだって。自分だって、そうなのに、よく言うわ」
「皆、仕事中毒だな」
「だよね」
「絶対に、治れよ」
「うん」
ガン治療では副作用は避けられない。
癌と戦っているのか、薬と戦っているのか、わからなくなる。
苦しかったが、弱い自分を誰かに見せるのは嫌だった。
特に、母には見せたくない。母が帰った後は、どっと、疲れが出た。それを見かねた雪乃が父に相談して、回数が減ったが、そんな裏工作がされていることにも気付かなかった。他人なのに、雪乃には我儘が言えた。雪乃は、苛立ちをぶつけても、泣き言を言っても、平然と受け止めてくれる。
それでも、自分の中では、ボロボロだった。「私って、こんなに弱い人間だったのか」を思い知らされた。
副作用でも、それなりに慣れるようで、楽になったように感じるようになった。
顔なじみになった坂田看護師が、我慢強いと褒めてくれるが、世辞だと思っていた。ただ、その坂田と友達になったと言っていた雪乃の話では、ナースステーションでも花の頑張りは有名だと言っていた。
「そりゃあ、あの人達は仕事なんだから、そう言うしかないと思うよ」
「花さん、結構、あの人達、患者の事、聞こえない所では、厳しいこと言いますよ。面と向かってぶつけることはしないようですが、結構言います。でも、花さんを悪く言う人はいません。ま、社交辞令もあるでしょうが、私は、8割がた信じてます」
「あなたの前では言わないでしょう」
「いや、私がいることを知らない場所での話ですよ」
「慰めてくれて、ありがとう。でも、薬、勘弁してほしい」
「強気の花さんでも、これほど苦労しているのを見てると、私だったら、どうだったろうと考えると寒気がします」
「でも、雪乃さん。どうして」
「何がです」
「どうして、我儘な私を受け止めてくれるんです」
「それ、聞きます」
「肉親でもないのに」
「花さんと私は戦友だと言ってくれたのは、花さんですよ」
「そうだったかしら」
「あれ、私が言ったんでしたっけ」
「忘れたわ」
「ですよね」
入院治療は半年かかった。自宅療養になったが、テレビを観たり、散歩をしたり、ただぶらぶらと毎日を過ごした。こんな怠惰な生活は生まれて初めてかもしれない。
無事合格した大学へは休学届を出していたので、そのまま休んでいる。見舞いに来たいと言う人には雪乃が対応していて、雪乃の許可はまだ出ていない。
仁が、フィアンセを連れて来た。
「町村綾乃です」
「あら、彼女、いたんだ」と誰もが思った。
店の近くの小さなスーパーのお嬢さんで、一時、仁の店でアルバイトをしていたらしい。
物静かで大人しそうなお嬢さんだったが、芯の強そうなところは、男には見えないのかもしれない。暫くしたら、主導権は綾乃の手に落ちるだろうと思われた。
花が、無事、退院し、仁がフィアンセを連れて来たことで、母は喜んでいる。母の様子を見ていると、余命がどのくらいあるのかはわからないが、頑張って治療したことが、取り敢えず、無駄ではなかったと思える。ただ、風の研究は難しいだろうと思っていた。それでも、勉強はしてみたかった。ただ、獅子奮迅は諦めなければならないのだろう。
退院して1カ月過ぎた頃、雪乃がBreezeの面会を許可していいかと聞いてきた。
受験と入院で、1年は接触していない。
「いいですよ」
「私も同席します。無理は避けてもらいますからね」
「わかった」
当日、増田を先頭にメンバーが来た。
花は、深々と頭を下げた。
「迷惑かけて、ごめんなさい」
「いえ、いえ、いえ」
4人が声を揃えた。
食堂のテーブルをはさんで座った花は、あらためて、4人の顔を見た。
「元気そうね」
「はい」
「アルバム、出さないといけませんね」
「いえ、今日は、お見舞いですから、アルバムの話は、またにします」
「ええ、でも、増田さん、焦ってるでしょう」
「いえ」
「曲は、用意してあります」
花は、楽譜を押しやった。
「12曲あります。全部使ってもいいですし、選んでもいいです。ストックは、まだ少しありますので、安心してください」
「ありがとうございます」
「では、甘えて、音楽の話をさせていただいていいでしょうか」
「もちろん、です」
「紗枝が、曲を作ったんですが、花さんに評価してもらいたいんです」
「あら、頑張ったのね、紗枝さん」
「全然、自信ありません。皆も、頭、悩ましてます」
「そうなの」
「はい」
「でも、曲を作ったのは、紗枝さんだけでしょう」
「お二人は、弾く前に、引っ込めましたので」
「とりあえず、聴かせてください」
「はい」
音楽室に移って、紗枝のピアノを聴いた。
紗枝は、ピアノの前で固まっている。
「確かに、これは、Breezeの曲ではないかもしれない。誰か、若い人にソロで歌ってもらったら、どうだろう」
「はい」
「どうです、増田さん」
「はあ」
「気に入りませんか」
「いえ、そうは言いませんが」
「ちょっと、楽譜を貸してくれる」
「はい」
イントロに、少し手を加え、サビの部分を新しい五線紙に書いた。
「これで、弾いてくれる」
「はい」
全く別の曲になっていた。
「紗枝さん、あと一息ね」
「そうなんでしょうか。こんなメロディー、出て来ません」
「私も、玲子さんも、曲、作ったんです。無理矢理でしたけど。でも、紗枝の曲が私達の曲よりも何倍も良かったんです。紗枝の曲、ほんとに、あと一息なんでしょうか」
「私は、そう思いますけど」
「無理です。私には」
「紗枝、頑張れないのかな」
「無理。今日、そう思いました。強く、思いました。だって、見てたでしょう。花さんは数分で変えたんですよ。これ、明らかに、別の曲ですよ」
「では、私の曲が尽きたら、Breezeは解散ですか」
「仕方ありません」
「それでいいんですか」
「だって」
「そう、だったら、諦めるしかない」
紗枝の両眼から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「花さん、作曲の指導なんて出来ないものなんですか」
「私には専門的なことはわかりませんが、世の中の作曲家は、教育を受けて作曲家になったんですか。そうじゃないと思います。多分、皆、自分で掴み取ったんだと思います。もちろん、才能は必要でしょう。そんなもの、やってみなきゃわかりません。それも、とことんやってみなければ才能の有り無しも見つけられないと思います。強い意志で、才能という場所に到達することが出来た人が、才能ある人と呼ばれているのではないかと思います。自分の全てを賭けて、悪魔に魂を売ってでも、手に入れたものが才能と呼ばれているとしたら、泣き言を言っているような弱虫には無理です。もちろん、頑張っても手に入らないかもしれない。でも、それを承知で挑戦する能力が才能だと思います。そういう意味では、松岡さんにも村山さんにも言えることです。あなた達、諦めたんでしょう。二人は、涙流しましたか。多分、簡単に諦めたんだと思います。少なくとも、泣き言言ってるほうが頑張っているように、私には見えますが」
勝手に音が降ってくると言っても、誰も信用しない。誰もが、それを才能だと言うのだろうが、花は、自分に才能があるとは思っていない。音が降ってくるという体験をした人は少なく、そんな現象が起きるとは誰も思っていない。でも、花の場合は、実際に、音は降ってくる。そんな自分が、彼等に、無理をしろと言うのは筋違いなのかもしれないが、他に方法はないのだと思う。実際に、多くの曲が世に出てくるのは、才能だけでは片付けられないものがあるからだと思っている。それが、人間の意志だとすれば、せめて、意志を持たなければ曲は生まれないと思う。まだ、紗枝の曲は未熟かもしれない。それでも、途中で投げ出さずに曲にすることが出来たのは、紗枝の才能だと思う。多分、自分には才能がないと諦めてしまった人は山のようにいるのではないだろうか。
村山と松岡は顔を伏せた。増田の目は泳いでいた。紗枝の目には意志があった。
勢いよくドアが開き、雪乃が入って来た。
「時間です。花さん、無理してませんか」
「はい」
「そうは見えませんよ」
「ごめんなさい」
まっ先に増田が謝り、3人は申し訳なさそうな顔をした。
「この人、まだ、病人なんです。それも、重篤な病人です」
「紗枝さん、もう一度、いや、何回でも、挑戦してみませんか」
「はい」
「曲ができたら、聴かせてください」
「駄目です。皆さんは、当分、面会謝絶です」
「雪乃さん、曲はすぐにはできません。安心してください」
「わかりました。その時の体調で決めましょう」
半年後にアルバムが発売されたが、紗枝の曲は含まれていなかった。
花は、順調に回復し、普通の生活ができるようになったので、学校生活を始めることにした。ただ、年齢差だけではなく、常に付き人がいる花は周囲から浮いている。まだ、一般教養の授業が多いが、それでも、新鮮に感じ、楽しいと思っている。少しずつ、挨拶をする学友も増えてきて、花の表情は明るい。
白血病の治療をしていることが知られてからは、年齢も付き人も認めてくれたようだ。
「三谷さんが会いたいと言ってきていますが、どうします」
「日曜なら、いいです」
「じゃあ、連絡しておきます」
「紗枝、一人」
「はい」
「難しいね、グループは」
「のようですね」
「でも、あの子は伸びるかもしれない。根性あると思う」
「そうですね。負けるの、嫌いみたいです」
「でも、苦労するんだろうな」
「はい」
偏屈な祖父と、ろくでなしに惚れてしまう母親を持ち、突然、音楽の世界に引きずり込まれたのだから、それなりに、苦労はあったと思う。ただ、紗枝は、祖父の事は尊敬していたし、その三松敏夫の孫であるということには誇りにも思っていたようだから、音楽の世界で生きていく覚悟はあると思う。
「よく、来てくれたね。怖かったでしょう」
「はい」
「でも、これで、壁を1つ乗り越えたんだよ」
「そうなんですか」
「私は、そう思う」
「ありがとうございます」
「聴かせてくれる」
「はい」
前回の曲よりは、良くなっていたが、まだ売りに出せるほどの曲ではない。
「どうでしょうか」
「うーん。まだ、かな」
「はい」
「何に苦労した」
「サビです」
「だよね。みんな、そこで苦労するんだと思う」
「先生は、どうして、音が降ってくるようになったんですか」
「先生はやめようか」
「あっ、済みません」
「誰も信用してくれないけど、ほんと、突然、降ってきたの。自分でもわからない」
「そうですか」
「曲全体を考えるんじゃなく、サビばかり考えてみようか」
「はい」
「私にもよくわからないけど、音楽って理屈じゃないと思うの。だから、音を大事にして」
「はい」
「次、来る時は、サビばかり持ってきて」
「また、来てもいいんですか」
「いいに決まってる。もう、諦めろって言われると思った」
「はい」
「諦めるのは、私じゃなくて、あなた。紗枝が諦めない限り、私は付き合う」
「ありがとうございます」
年寄りのようだが、病気をしてからは、若さに羨望を感じる。紗枝には、若さが漲っていたし、それを見るのは楽しい。
学校でも、学生の若々しさは羨ましい。ただ、この状態で社会へ出ていって大丈夫なのかと心配するのは、年齢のせいなのか、病気のせいなのかわからない。もちろん、先を見据えて学問に取り組んでいる真面目な学生もいる。ただ、社会は、真摯に学問と向き合う人間を求めているのではなく、「いくら、稼いでくれるか」を求める。専門分野の研究者にならないのであれば、学問はあまり重要ではないのかもしれない。重要なのは、どの大学を卒業したのかであって、学部はそれほどの意味はないのだろう。
花は、研究者になることが目的なので、真面目な一群にいたいと思った。だから、一般教養の授業でも真面目に出席した。
時折、高田佐紀とも会うが、学校では、特に親しくはしていない。高田が卒業するまで機密保守料は支払う約束なので、花が自分の生徒だったことも話していないようだ。しかし、高田が研究室に残れる目途はなく、就職を選んだ。落ち込んでいたが、慰めようがない。花は、大学院に進み、研究室に残れなくても、自分で研究を続ければいいのだから、高田には申し訳ないような気もする。
紗枝がサビのメロディーを持ってやってきた。
全部で5つある。
「どうでしょうか」
「紗枝は、一番好きなのは、どれ」
「これです」
紗枝は、そのメロディーを弾いた。
「私も、そのメロディー、いいと思う」
「ありがとうございます」
「じゃあ、そのメロディーで、曲を作ってみようか」
「ここで、ですか」
「そう」
「んんんん」
「紗枝は、このメロディーで、何を思い浮かべる」
「えーっと、雲ですかね」
「どんな雲」
「鱗雲」
「じゃあ、その鱗雲を見る人は、どんな気持ちで空を見たんだろう」
「多分、何か難しいことがあって、ふっと、目を上げたら雲が見えた」
「それって、物語よね」
「そうですね」
「その物語を、音で語るのが、音楽だと思う。物語を書き、その先にあるクライマックスのサビに結び付ける。物語には起承転結があって、転がサビだとすると、物語に相応しい、承は、起は、どんな音だろう。例えば、今日持ってきた他のサビが承になると思う」
「いえ」
「その音を探すの。そのために必要になるのが物語。私は、そうやって、曲にしてる。私のやり方が正しいってことではなくて、いろいろなやり方があるんだと思う。紗枝のやり方は、いつか、紗枝が見つける。それまでは、とりあえず、真似してみようか」
「はい」
「私は、2時間ほど、自分の勉強をする。また、戻ってくるから、どんな音でもいいから見つけておいてくれる」
「はい」
2時間後に音楽室に行くと、紗枝は頭を抱えていた。
「何か、音が拾えた」
紗枝が楽譜を差し出した。
「これは」
「思い悩んでいる音」
「そう」
「何か、難しいことに出会い、悩んで、空を見て、救われる」
「じゃあ、その難しいことの音が必要だね」
「まだ、見つかりません」
「わかった。それは、宿題にしよう。次、来る時は、起と結の音を見つけてきて」
「はい」
それから2カ月、紗枝からの電話はなかった。
「随分、苦戦したみたいね」
「もう、限界です」
「あなたが見つけた音を聴かせて」
紗枝が、起の音を弾いた。
「いいじゃない」
「でも、次につながりません」
「それで困ってたの」
「はい」
「私は、起の音と結の音を見つけて、と言ったの、つなげろとは言っていない」
「は」
「じゃあ、結の音を聴かせて」
紗枝が弾いた。
「いいと思うよ。では、どうやってつなげるか、やってみよう」
「はい」
「理屈じゃないから、私がやってみるね」
花は、紗枝の楽譜を見ながら、起と承を結び付けた。
「あら」
「これで、つながってる」
「はい」
「じゃあ、承と転をつなげてみようか」
「はい」
「最後に、転と結ね」
「つながってます」
「私も苦労した。よくわからないけど、経験じゃないかと思ってる」
「だから、つなげろとは言わなかったということですか」
「私の作り方が正しいとは思っていない。でも、私に出来ることは、私のやり方を見てもらうしかない。いつか、紗枝流の作り方が生まれるんだと思う」
「教科書なんてない、ということですね」
「いや、それもわからない。あるのかもしれない。でも、私は、自分流でいいと思っているし、それが音楽だと思ってる」
「自分の音は、自分で作れってことですね」
「その通り。紗枝は私にはなれない。私も紗枝にはなれない。それでいいんじゃない」
「はい」
「さっき、私が起と承をつないだ部分、それが最善だとは思う必要もない。紗枝の音を見つければいい」
「はい」
「じゃあ、次は、この前聴かせてくれた他のサビのメロディーを曲にしてみて。時間はかかってもいいから」
「はい。やってみます」
次は、1カ月で完成させた曲を持ってきた。
「どうですか」
「起承転結もつなぎも、いいと思うけど、売り物にはならないと思う」
「はあ」
「理由は分かるよね」
「サビですか」
「振出しに戻ったね」
「はい」
「少し、考え方を変えてみようか。今回は5曲作って、1曲は売り物になる曲ができた。100のサビを作れば、20曲は生まれることになる。20曲ってことは、アルバム2枚分だよ。凄いことだと思うよ。少なくとも、ゼロじゃないんだから、やってみる価値はあると思う」
「でも、私、5つ作るだけで四苦八苦したんです。100なんて夢です」
「もちろん、紗枝には、村山さんや松岡さんがやったみたいに、諦めるという選択肢もある。それは、紗枝が決めることだと思うから、私は、無理にとは言わない」
「・・・・」
「私ね、看護師になる予定だったあなたを、無理矢理、音楽の世界へ引きずり込んだ。あなたのおじいさんが、そう願っていたんじゃないかという私の勝手な思い込みを、あなたに押し付けた。それがよかったのか、と思っている。謝っても取り返しはつかないけど、私には、謝るしかないのかもしれない」
「とんでもない。私は、チャンスをくれた花さんに感謝しているんです。後は、私次第だということ、わかってますから」
「でも、このままなら、Breezeは終わるよ」
「はい」
紗枝は、2カ月後に、20個のサビを持ってきた。
「売れるのは、これとこれ、かな」
「減っちゃった」
「だね」
「でも、いい。2曲作れるなら上出来」
「あれ、落ち込まないんだ」
「やめました。落ち込んでも、何もいいことありませんから。もしかすると、次、10個作ったら8個売り物になるサビができるかもしれないじゃないですか、なんて、強がり言いたいです」
「やっぱり、落ち込んでるんだ」
「そりゃあ、そうですよ」
「でも、タフになったんだ」
「強がっているだけかもしれませんが、負けたくない気持ちはあります」
花は、立ち上がって、書棚から楽譜を取った。
「これ、私のサビ。5個ある。これを曲にしてくれる。前回の分と今回の2個で3個。あと2個作れば5個になる。全部で10曲完成する。アルバム、できるじゃない」
「いいんですか」
「もちろん、紗枝の分にも、私の分にも、クレームはつけるよ。合作曲なんてあるのかどうか知らないけど、別にいいじゃない」
「なんか、今、目の前が明るくなったみたいです」
「あなたが、いい曲作れば、Breezeも、続くかもしれない。いや、Breezeが潰れたとしても、あなたは生き残れるかもしれない」
「ありがとうございます」
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