第6話 これが俺のやり方
「で、お前は何処の間者だ?」
「いや別に病人じゃないですよ」
「その患者じゃねぇ!どこの組織の奴だって聞いてんだ。警察か?」
「………強いて言えば愛の組織かな」
――バッン
その瞬間俺の顔面が蹴られた。普通に痛い。
「ふざけるのもいい加減にしろよ」
ポタポタと口から血が垂れる。どうやら蹴られた事によって口の中を切ったらしい。
――それでも俺は言いたい事を言わないと我慢出来ない性格なんだよ!
「ふざけてるわけねぇだろ。俺がここにいる目的はただ一つ可愛い女の子からモテる為だ!」
俺は今まで加減して力を全力で振るい抑えていた二人を跳ね除けて立ち上がる。だがこれは二人が油断してから抜け出せた事。俺は咄嗟に距離を取る。
「ほう、やるじゃねぇか。タッパだけだと思ったぜ」
「運送業名乗ってる割には細いからな。助かったぜ真面目に仕事してなくて」
けど、ピンチなのには変わらない。もう一度来られたら確実に負ける。だから俺は遠慮なく近くにあった火災報知器のボタンを押した。
――ビービービービー
ビル全体に警告音が鳴り響き、強制的に全員の意識を俺以外に逸らす。約1秒……それだけあれば充分!俺は窓まで全力で走りそして
「たすけてぇぇぇぇえ!!!!!!」
窓開け全力で叫ぶ!慌てて犯罪者共が俺を引き離そうとするが舐めるなよ!絶対離すもんか!
「誰か!助けてぇぇぇぇ!!!!警察を呼んでぇぇぇぇ!!!!!!!!!」
俺の全力の叫びで民衆から注目が集まる。スマホを取り出して動画や写真を取るもの警察に連絡するもの。
「警察を!警察を呼んでぇぇぇ!!!!」
俺の口から血が出ていて顔を蹴られた事によりあざが出来てる事で、信憑性もます。
人を隠すなら人の中と言うが、それはあくまで見つからなければの話。コイツらは俺に見つかった時点で最初から負けていたのだ。
「クソガキが!お前らズラかるぞ!」
「ですが川崎さん!もう警察が来てます!!」
「は?早すぎるぞ」
馬鹿め、俺がここに来るまで本当に何もしてないと思ったのか?俺はこのビルに入る前。適当にその辺の友達と登校してる学生の一人のスマホをぶんどって壊して逃げた。
そしたらそいつの友達は事前に警察呼ぶだろ。呼ばなかったら馬鹿だよ。後で菓子折り持って謝り、弁償しないといけないので面倒くさいけど。
「もともと確実に証拠、掴んで警察に現行犯逮捕させるつもりだったけど。中々上手く行かないな」
俺は犯罪者が逃げようとしたので一時的に自由になり脱力してその場でへたり込む。
やはり主人公のやり方じゃないとダメなのだろうか?けど怖い思いする前に解決した方がいいと思うんだよな〜
「けど、これでこの組織は潰れるだろ。あー、事情聴取ダル」
◆
ニュース
「魂の叫びが、驚くべき発覚のきっかけとなりました。〇〇市の〇〇運送会社で助けを求める一人の少年の声が響き渡り、その叫びを受けて現場に駆けつけた警察が、大規模な麻薬取引の現場を抑えたのです。」
俺はそのテレビを情報を見ながら朝食を食らった。3日前だって言うのにまだやってらぁ。
あの後、普通に警察が捜索して結構な数の麻薬が見つかったらしい。犯罪者共は皆現行犯逮捕、俺は無実を証明する為色々と取り調べを受け、後日スマホを壊した学生に菓子折りと弁償額の15万程度の金額を渡して謝った。
フフフ、実は俺お金持ちなんだ!月の小遣いだけで5万貰えるんだぜ。全く使わんから100万くらい溜まってるけど。
「とまぁ、めでたしめでたし」
――パァン!
義妹に急にビンタされた。
「何がめでたしよ。私はまだ許してないんだからね!」
華蓮が食事中だと言うのにプンプン怒ってる。確かに家族が1日家に戻って来ないと思ったら警察に捕まってたのだ。俺だって怒る。
というわけで即座に土下座するのが俺のスタイル。
「大変迷惑をおかけすいませんでしたぁぁ!!!でも仕方ないじゃん!モテたかったもん!」
「アホ!」
華蓮はそう一言だけ言って先に学校に行ってしまった………許してもらえるまで結構時間かかるなこれ。しゃーない、アイツの好きな手作りデザート作るか。
俺がそう思いながらニュースを見ながら朝食を再開する。
ニュース
「一人の少年の叫びがきっかけで明るみに出た麻薬取引事件。その裏には、組織に深く関わり、闇バイトとして犯罪行為に手を染めていた複数の人物の存在が浮かび上がっています。
警察は現在、関係者の特定と逮捕に向けた捜査を進めており、闇バイトの実態解明に注力しています。」
あ、やべ。ソフィア逮捕されるかもしれん。
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