集え仲間1

「うんうん、やっぱり仲間を集めるなら酒屋一択!ま、俺酒飲める年齢じゃないんだけどさ!いや酒苦手だからいいんだけどね」


 酒屋の扉の前で大声で1人言を発する変人こと勇者。辺りを通る一般人達からは避けられている。


「お邪魔しまーす!魔王討伐に付き合ってくれる人いますかー?」


 酒屋に入るなりそんな一言。世界に恐れられている魔王をこれから討伐する人物の出す言葉とは思えないほど軽い口ぶりだ。


「あぁん?勇者だぁ?勇者様はお子ちゃまなんでちゅねぇ?」


 呑気な勇者に昼間から酔っ払っている男aが突っかかってきた。


「子供かなぁ……確かに子供舌かも!」


 勇者は17歳の165cm55kgだ。


「でも!金はあるぞ!」


 勇者は先程手に入れたばかりの金貨が大量に入った袋をガチャガチャと鳴らす。


「お、おい見ろよ!これ中身金貨だ!こりゃいいとこの坊ちゃんだったか」

「マジか!?俺を雇えよ!力あるぜ?」

「いやいや!ここは俺を!」


 勇者の金貨袋に昼間から酒に入りびたるような男bcdが寄って集っている。


「えー、男はちょっとなぁ……」

「そうかそうか、じゃあ金だけよこせ!」


 ▶男aの攻撃!

 フラフラ行って左ストレート

 勇者は避けた


「おいおい、コイツ少しはやるぜ?」

「おう!なら一気に行くぞ!」

「おう!金は早いモン勝ちだ!」


 ▶男a〜gの攻撃


「……寄って集って醜いな」


 ▶青髪の剣士のみねうち

 男a〜gは意識を失った


「少年よ、大丈夫か?」

「大丈夫!助けてくれてありがとう」

「先程魔王を討伐すると言っていたが……本気か?」


 勇者を見て青髪の剣士は心配しているようだ。


「超本気」

「ならば俺を……」

「ごめんなさい、女の子を連れていきたいんです」

「そうか。だが少年、なぜか君なら魔王を討伐してくれる気がするよ」

「うーん、どうだろう?まぁ、期待してくれていいよ」


 勇者は青髪の男とそれだけの会話を交わすと再びパーティメンバーを探すために1件隣の酒屋へと向かった。


 ◇


「ねぇお姉さん!」

「あら坊や、どうしたの?」

「一緒に魔王討伐しない?」

「あらあら、からかってるの?」


 隣の酒屋で最初に声をかけたのは色気を醸し出した金髪の女性だ。


「超本気、この金貨で雇うからさ、一緒に魔王討伐の旅に行かない?」

「お金持ちなのねぇ……でも、私お金興味ないのよ」

「嘘だー」

「本当よ」

「いいや嘘だ」

「いいえ本当よ」


 そんな会話をしていると……

「……今、お金取った?」

「なんの事かしら?」

「いや、凄い速さで取ったよね」

「さぁ、知らない」


 金髪の女は知らんぷりするが勇者は見ていた。半透明な腕が金貨袋から金貨を取っていく様子を。

「いやぁ、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね」

「見えてたの?」

「うーん……勘」

「そう、勘なのね」

「うん、だからついてきてよ」


 話の流れを噛み砕いて勇者は懇願する。


「痛いのは嫌よ」

「大丈夫、魔王城の近くまででいいから」

「そう、じゃあ金貨10枚で付いてくわ」

「よし!じゃあ行こう!ちなみに名前は」

「マネよ」

「マネ、よろしく!」


 ▶勇者のパーティにマネが加わった


 そうして新たにマネが加わった旅。それはまだ始まったばかりだ―――



















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