コミカルでシュール。だから恋は切ない。

 なんとも意味不明なタイトルが自分好みで読んでみました。

「ビビヌッコアユナ」の存在が不思議すぎるのですが、主人公のモモコはそんなビビヌッコアユナが大好きで卒論の研究対象にしてしまいます。

 初めて読んだときは独特すぎる世界観にファンタジー? SF? と戸惑いましたが、再度じっくりと読んでみると、実は究極の恋愛小説なのでは、と感じました。

 チュールスカートでモヒカンのビビヌッコアユナに話しかけられてドキドキするカピバラのコスプレをしたモモコ。
 その画を想像すると滑稽なのですが、そもそも恋愛って他人から見たら滑稽なものだよな……と感じたり、恋をしてる人やキュンとしたい人には響くのでは、と感じるシーンや語りがあったりして、現代のリアルな生活に結びつきました。

 生きづらい世の中でも、なりふりかまわず「恋」だけでは片付けられない想いを突き進めるモモコ。

 奇抜で滑稽な設定だからこそ、そこに隠れた恋愛の喜びや切なさ、虚しさなどが引き立ってくるように感じられ、心が揺さぶられました。
 
 作者様に、伝えたかったことは? この作品が生まれたきっかけは? など色々聞いてみたいのですが、想像して自分なりに解釈するのも本を読む醍醐味ですよね。

 そんな読書の楽しさを味わえた作品です。

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