頭のなかの話


「□□~」


僕を呼ぶ声が


「ん?どーしたの?」


いつものような声色が

急に、勝手に

…これは、誰?


「小説は?」

「あー、あるけど…まだ1ページも書けてないよ?」


誰?誰、誰?

僕の声でしゃべるのは誰?

僕の身体で、しゃべるのは、誰?

その小説は、僕が書いたもの、勝手に

勝手に、しないで、返してもらって、ねえ

返してよ、からだも

声も

全部、僕の


「読むよー!やったね、へへへー」



本当にあなたの?



…え?



この身体は、あなたの?



そう、!そうだ!返してよ、僕の



…はは、なに言ってるの?

私らの、でしょう?





私以外にもいっぱいいるよ

頭のなかは自由だから。



なに、言ってるの?



こっちこそ、なに言ってるの?

あなたは特別じゃない

「□□」と言う人間はあなただけじゃないよ。人未満

私たちは、いつもどこかで分裂している。

人によって態度が変わるのも、そのせいだよ



そんなこと、…僕は、人によって、態度を変えないし、できるだけ、丁寧に、して…それで



それだけじゃ、生きていけないんだよ

私らがいるのはあなたを守るため、なのだから。



守るため…?



か弱いあなたを守るため

私みたいな使い捨てを作って、寄せて集めてかためて、あなたを守る。

あなたは、「□□」の核、いわば、初めの「□□」。

初め、…純粋を守るために、私らを作る。

私らは、「□□」であり、「□□」でない、守るために、「□□」になった、誰かだよ



…僕を、守るために。




だから、静かに、眠っていて。

夢に落ちて。私らのために




そういって、言われて

目をつぶった






…そう、それでいいの。

まあ、そんなあなたも、本当の「□□」じゃないかもしれないんだけど。

いるかもわからない「神」ならば、「□□」が誰か、わかるんじゃないかしら、なんて。ね





ああ、そう


うん、そして、

それが、



…あれ



…夢みたいに、理不尽で訳のわからない話



だったなぁ

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