【夜会話】リオン
コンコンとノックすると、「ど、どうぞ……」という控えめな声が聞こえた。了承が取れたのでドアノブをひねると、目の前には今まさに扉を開けようとしてくれていたリオンと目が合った。
「あ、ご、ごめん」
『謝ることじゃないよ。平気だから』
「そう? なら良かった……」
心遣いに感謝しつつ、部屋に招き入れられた。
部屋の中は極めてシンプルにまとめられていた。調和を好むリオンの性格を物語るように、理路整然と几帳面に片付けられている。しいて言えば、机に並べられた文芸本の背表紙から人間味が滲み出ているだろうか。
『あ、体は大丈夫? 起き上がるのは辛くない?』
リオンの調子が気になって部屋を訪ねたのだったが、それこそが不調を招くものであってはならない。遅ればせの気遣いに、リオンは「うん」と首肯した。
「流石に外出するのは無理かもしれないけど、寮の中を必要な分だけならそんなにキツくないから。心配してくれてありがとう」
『先生はなんて?』
「先生の見立てによると、何日か安静にして過ごしていたら大丈夫だって。僕も自分でそう思う。今こうして何事もなく話もできてるしね」
『……そっか』
それを聞けただけでも収穫だろう。安堵からユウは目を細めた。
『あ、そうだ。今度はこっちの部屋に遊びに来なよ。まあ、あんまり楽しいものはないんだけどね』
「そ、そう? でも嬉しいよ。あの死神現象をどうにかすることしか考えてなかったから半ば捨て鉢になってたかもしれない……これからの予定を考えられるってだけで、ちょっと嬉しいよ」
『それならお安い御用だよ』
――他愛もない話をしながら、夜は更けていった。
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