イかれた奴らがやって来た…! 借金地獄から始まるド阿呆底辺冒険活劇…!

この物語は、父親の残した借金を完済し、自由を勝ち取るために邁進する「底辺日雇い甲斐性無し屑カス借金野郎(原文ママ)」の冒険を描いたものだ。
借金の額は膨大で、借金奴隷と隣り合わせの過酷な境遇。
生きていくにも苦しい状況なのに、なんだか全く悲壮感がない。
何故ならこの主人公達はイかれているからだ。
もちろん状況は理解している。崖っぷちだ。どうしようもなく詰んでいる。
それでも、このイかれた奴らなら何とかなりそうな期待感を読者は抱くだろう。


物語が進むほどにコメディのキレは増し、一方でシリアスな場面には、手に汗握る緊張感がある。
この作者はキャラクター同士の関係性を描くのが非常に上手で、読み進めるごとに面白くなってくる。
主人公は強くないし変な奴だし、甲斐性もない。召喚獣も決して万能ではないし、失敗もするし、クセがある。
それでも主人公は召喚獣を大切に思ってるし、召喚獣もそんな主人公のことが(きっと)結構好きだ。ダメな奴らだけど、たまに喧嘩しながら、足りない所を補いながら、少しずつ前に進んでいく。そんな距離感も、その関係性の変化も読んでいて何だか楽しい。

索敵だけはできる主人公と、ツッコミとボケができる召喚獣の二人から始まるこの物語は、右肩上がりにどんどん面白くなっていき、パーティーメンバーが揃ってからの面白さは格別だ。

もしかしたら、初見の人は序盤少し物足りない、あるいはノリについていけないと感じる人も居るかもしれないが、是非、しばらく読み進めて欲しいと思う。きっと後悔はしないと思う。
他のテンプレのようなカクヨム作品に飽きたひとや、声を出して大笑いしたい人は絶対に読むべきだ。タイトル通りマジでイかれてるから。最初は面食らう人も多いかもしれないけど、本当に面白くなるから絶対読むのをやめないでほしい。

この作者の作品はどれもとても面白いので是非一読を。
個人的には無能サモナー池田から読むのをお勧めします。