胃腸が壊れて人生初入院した話

※ 話の性質上ちょっと汚いと思わせる表現があるかもしれません。



 これはニンダイでSwitch2の正式発表がある直前くらいの出来事……。


 原因は、恐らくはスーパーで購入したローストビーフ。

 いつもより肉の赤みが多く柔らかくて美味しいと食べたのですが、それは逆を言えば加熱が不十分だった可能性があるということを私は完全に見落としていました。


 食事から数時間後、胃のムカムカが止まらない。

 そのときはまだ油物を食べ過ぎたときの感覚に似ていたので胃薬を飲んで休息したんですが、更に数時間後の深夜になって遂にムカムカが最高潮。

 たまらずトイレで嘔吐のお時間です。

 鯖の塩焼きを食べた影響で胃液は全部鯖の脂の臭いでまあ地獄でした。多分魚油の質のせいなんだろうけど、以降一週間はトイレから臭いが取れませんでしたね……。


 そのときはまだ食中毒とまでは思わず一応吐いてすっきりし、「自律神経が弱ってたのかな」と思いつつ一度寝たのですが、暫くして再び猛烈な不快感が全身を襲い、なんとかトイレに向おうとするも平衡感覚を失ってド派手に転倒しました。

 後で知りましたがなかなかの勢いで転んだらしく、頭にでかいたんこぶが二つ出来ていました。


 その後、なんとか平衡感覚を取り戻したものの、吐き気と便意が同時に襲ってきてトイレに駆け込むと腸の中身が全部出るんじゃないかという勢いで水のような便がでまくり、ここに至ってやっと「何か食べ物で!!」とはっきり気づきました。


 鯖か? でも火は通ってたし鯖な訳なくない? と、まだローストビーフの存在に発想が至らない……というか思い出す余裕がありませんでした。


 時間は深夜。この調子では一晩中ゲロか下痢。私は以前に嘔吐下痢症になったことがあるのですが、強烈な不快感と全身から吹き出る冷汗はそのときより状況が悪いと感じました。

 深夜なので当然病院は開いていない。

 とはいえ、開院までこの状況で耐えられるのか?


 不要・軽傷の救急車出動が問題になっている昨今ですが、この嘔吐レベルだと水分補給しても全部出尽くして脱水するのではという素人考えと平衡感覚を失うほどの不快感があったことからやむなく救急車を呼びました。


 結果的にそれが適切だったのかどうかは分かりませんが、その頃はまだそれなりに寒く、しかも自律神経が崩壊して震えが止まりませんでした。この時点では原因が感染するものかそうでないのか判別がつかなかったので、そのまま病院の空いていた個室に緊急入院することに。何気に人生初の入院です。


 それから三日間、なかなかに大変でした。

 治療方針は胃腸が菌を出し切るまで絶食と点滴で堪えるというシンプルなもの。薬は出ません。日常生活では下痢が出たら下痢止めの薬なんか飲みがちですが、そもそも下痢というのは基本的に異物を体外に排除して身を守るための人間の生体機能なので上記の治療法は理にかなっています。


 実はこれ、寝てるだけで済まないんですよ。

 私は夜が明けた頃には一応自力で歩行できるくらいにはなっていたんですが、嘔吐は止まっても下痢が止まらず点滴のスタンドを引きずって何度も何度もベッドとトイレを往復しては水のような便を出し続けました。


 点滴の管と針の位置の関係を考えずに行くと痛いし、回数がとにかく多いし、油断すると漏れそうになるし、電動の点滴だったんで行き来する度に電源プラグの抜き差しがあったし、何度も便するのでお尻回りの皮膚が荒れまくるし(後に相談してワセリンを貰った)、先日の自律神経崩壊の震えで筋肉痛になってるし、たんこぶが痛いし……当然そのときは碌に寝られていないのでスマホを眺めるほどの余裕もありません。


 ただ、流石にニンダイは気になったので頑張ってそれだけはスマホで見ました。どうせ寝れないし……。全然入院したことないから知らなかったけど、最近の病院ってフリーWi-Fiとかあるんですね。


 二日間は延々そんな感じでしたが、段々と下痢の回数は減っていき、落ち着きを取り戻した腹が飯を寄越せと唸り始めたので主治医と相談して病院食を食べてみることに。


 重湯とおかゆの中間くらいの奴と何品かの滅茶苦茶消化によいように調理されたおかず、そしてデザートのフルーツ、牛乳が出たかな……。病院食は美味しくないというのは昔から言われていましたが、二日ぶりの食事は流石に美味しく感じました。


 より詳細にレビューすると、基本的には塩分を減らしても旨味を感じられるようダシを効かせたものが中心でした。やわやわとはいえ鶏肉なんかも出ましたよ。品によっては結構冷凍臭が強いものもあり、コレあんまり美味しくないな……と思うものも少々ありましたが、胃腸の弱ってる奴が贅沢言うなという話なので当然残さず頂きました。

 フルーツ含めデザートも小さな贅沢感あるものがチョイスされており、味気ないものを覚悟していたこちらとしてはイメージより全然よかったです。


 胃が縮んでいたので量は控えめなのに腹にはずっしり来ましたが、嘔吐や下痢が激しくなることもなかったのでほぼ問題ないだろうということになり、翌日の退院を決意しました。入院費用、当たり前だけど結構高いんで……。


 ただ、退院後も胃を慣すためにボリュームや油を控えた食事を続け、完全に元通りになるまで更に二日くらいかかったと思います。


 今ではすっかり元気になった私ですが、食中毒の前と後で少しだけ変わったことがあります。


 それは、ローストビーフを買うときは加工後に真空パックされた感じの安全性の高いものを買おうと決意したことと、鯖の脂の香りがちょっと苦手になったことです。鯖が原因だった訳じゃないんですが、やっぱり胃液と混ざった鯖の脂の臭いが嫌な記憶として脳にこびり付いてしまったようですね……。


 食中毒は夏の暑さで起きると思いがちですが、実際には年中いつでも起きます。Switch2と違って当たっていいことなんて何一つないので、皆さんどうかお気をつけを、というお話でした。

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