大病院に渦巻く欲と陰謀、闇に葬られる真実。これでもかというほどの息もつかせない展開にぐんぐん引き込まれること請け合いです。緊張感のみなぎる医療現場の描写にはまるで手術室にいるような動悸を味わい、取り返しのつかない運命の罠に憤りを感じ、あやつり人形となる者の哀しさ、滑稽さにため息をつく。あたかも自分まで物語の中に放り込まれたような感覚に読む手が止まらなくなります。
医療サスペンスでありながら登場人物たちの成長や再生を描く人間ドラマとしても秀悦です。二転三転する物語の中に、医者という枠を超えた人間の葛藤が描かれ、それこそメスのように切り込んでくる鋭さのある作品です。どうかどっぷりとこの世界に浸かっていただきたい。
長い歴史を持ち、財界とも繋がりのある神羽記念病院。
そこの次期院長と言われているのが、現院長の息子である神羽佑介。
しかし彼が院長になるには、大きな課題が。それは予定されている大きな手術を、無事に終えること。
しかし周りの期待とは裏腹に、手術に自信がない神羽が取った行動は、優秀な助手をつけることでした。
助手として選んだのは、三城という男。
彼は手術の腕は驚くほど優れている反面、経歴が一切不明という謎の人物。
怪しい匂いが、ぷんぷんしますね。古今東西あらゆるお話で、こういうキャラがわけ有りでなかったためしがありません。
三城が助手になったことで、徐々に見えてくる病院内の闇。
本来病院って人の命を救う場所であるべきですけど、黒い思惑や権力者のご都合で固められた一筋縄ではいかない病院も、世の中にはある。
医療現場の闇が、生々しく描かれていました。
医療ものであると同時に、三城の謎や病院の闇に迫る、ミステリーやサスペンスとしての側面を持った本作。
しかし多くの闇を描きながらも後味は悪くなく、晴れた空のような読後感がありました。
大病院の院長の息子であり、次期院長候補でもある神羽佑介。近々行われる手術を成功させれば、院長就任はいよいよ目の前。
なのですが、ここでひとつ問題が。実はその手術はかなり難しく、神羽の腕では無事に成功させられるかわからない。
そんな神羽の救い主になるかもしれないのが、三城という優れた手術の腕を持つ男。彼を助手にすることで、手術を成功させよう。そんな思惑から三城と接触を計り手術に挑むのですが、この三城という男、なんだか怪しい。
素性は一切不明ですし、そんな彼がなぜ優れた手術の腕を持っているのかも謎。そして、明らかに何か特別な思惑を持っている模様。
しかし特別な事情があるのは神羽だってそうですし、そもそもこの病院。相当な力を持っているだけあって、関係者も一筋縄ではいかなさそうな人たちばかり。
果たして手術は無事成功し、神羽の院長就任は果たされるのか。三城の狙いはなんなのか。
と、ここまででも十分魅力的なのですが、本作の面白さやはこれだけでは終わりません。
ひとつの大きな山を超えたと思ったら、そこから更に二転三転する物語。
どこに向かって進んでいき、それぞれがどのような結末を迎えるのか。最後の最後を見届けるまで、気が抜けそうにありません。