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女はそんなに馬鹿じゃない。
愛する男に何かがあったなんて簡単に見抜ける。
敢えて言わずに守ることもある。
それが自分を守る手段だから。
いつだって連絡をしたくなってしまうのは、女の弱さ。惚れた側の弱さ。
2人の間に聳え立つ壁がなかったら、どんな気持ちで幸せを求めていたかな。
他とは違う付き合い方を出来ていたと感じても、あなたの本心が、優しさが、痛いほど伝わるから。
私は縛れなかった、あなたを。
縛れない理由があったから。
周りがなんと言おうと、何をしてても、あなたが作り出す安らぎに魅力があった。
きっと1番目も2番目も5番目も、共通していたと想像できてしまう。
どんな風に夢中にさせてきたのか、手に取るようにわかってしまうから、切なさは感じてた。
自由奔放に曝け出したのは、
本当に思っていたから。互いに理解をしていたから。
だからこそ私は辛かった。
素直になれない自分も、素直になれない環境も、素直にさせないあなたの存在も歯痒くて。
どんなに一緒に景色を見たいと思っても、きっと隣にいるのは私ではない。
あなたがいなくなった世界を受け止められない。
受け止めたくなくて、あなたに甘えてしまった。
優しいあなたは、私を待っていると。
その言葉がキープでも実現しなくてもいい。
伝えてくれただけで、あなたと過ごした時間が無駄じゃないと思えた。
いつまで続ければ、一緒にいられるのか。
不安で怖くて仕方なかった。
そんな中でも一緒入れたのはあなたが守ってくれたから。
いつかは離れると分かっていたともしても、
あなたは私の腕の中で無邪気に振る舞ってくれた。通い合う心と身体で。
「大丈夫?ん」と聞いて「大丈夫だよ!」と答えるあなたは大丈夫じゃない。
私にも負担をかけずに振る舞ってくれたこと、
何もできなかった自分に苛立ちが立つ。
それだけが美しい2人の思い出の中でも後悔してます。
もっと頼って欲しかった。
私ばかりが頼って甘えてしまってごめんね。
何度か弱気になっても、
私を正当化してくれる強さと暖かさ。
あなたは、「○○は強いから。」と伝えてくれたけど本当に強いのは沢山傷つけて傷ついたあなたの方だよ。
私は仮面だった。
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