6.~父と子~花園の蛇《序章》

第67話

父が来たのは一刻(二時間)後だった。

俺はその頃には眼を覚まし、一応寝台の上で起き上がっていたが、父は扉を開けて部屋に入ってくるなり、俺の顔を見てあからさまに安心した様子を見せた。

「ルシアス」

「申し訳ありません、父上。お呼び立てするような真似をして」

寝台に歩み寄る父にそう言うと。

「何を言う。父には遠慮せずとも良い。それより怪我の傷はもう痛まぬのか」

「大分痛みは引きました」

「それは良かった。お前に手傷を負わせるとはヴィットリオ様も成長されたものだ」

「父上、父上と同じことをラスティに言われましたよ」

俺は父に笑んでみせる。

「しかし、ティレージュ様にも手傷を負わせました。自分でもわからないのですが、なぜかあの時は止める事ができなかった。影としてはあるまじき事をしてしまいました」

だが、父は俺の言葉に首を振る。

「通る道だ。ルシアス。影としてな。こうした事も影と主の絆の一つになる。いずれ分かる」

「父上」

「今、ヴィットリオ様の所には公爵様が訪ねておられる。私がお前のもとを訪ねてもおかしくないよう公爵様直々の計らいだ」

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