第14話 会いたかった?

「二兎!!!」



私は思わず二兎に駆け寄ってこう言った。



「よかった~!!!」



二兎は少し驚いた顔をして、私もまさか第一声が「よかった」になるなんて思ってなかったから自分でも驚いた。



「愛、またここに来てくれてありがとな。」



二兎が優しく微笑んで言う。

普段の二兎だったらこんなに素直にありがとうなんて言わないのに。


だけどそんな二兎の笑顔を見て、私は心の底から“二兎にまた会えてよかった...”と思っていた。

会う前まではめちゃくちゃムカついてたのに。


ここは二兎の小説の中の世界だから、現実ではありえないこともいろいろと起きてしまうんだろう。



「二兎、とにかくアンタに聞きたいことがいろいろありすぎるの。」


「なんだよ~、愛なら俺のことなんでも知ってるだろ?」


「茶化さないで!とりあえずまた一緒にもとの世界に戻ろう?」


「うーん、この世界でこのまま一緒に過ごすのも悪くないんじゃない?」


「二兎にとってはそうかもしれないけど、私は違うから!大体なんでこの歳になってセーラー服着なきゃいけないの!?マシンガンも地味に重くてめちゃくちゃ肩が凝るし!!!」


「肩が凝るなら下ろせばいいだろ。」



たしかにそれもそうか...。

私はマシンガンをその場に投げ捨てた。



「いいから!とりあえず一旦家に帰ろう!二兎なら帰る方法は知ってるんでしょう?」


「知ってるけどさ~...」


「じゃぁ早くして!」


「...あとで絶対怒らないって約束してくれる?」


「子供みたいなこと言わないでよ。」


「でも愛めちゃくちゃ怒りそうだからな~」


「わかった、怒らないから!そのかわり、帰ったらちゃんとに全部話してよね。」


「...わかった。」



二兎がしぶしぶ頷く。



「愛、ちょっと目ぇ閉じてて。」


「なんで?」


「いいから。」



急に真剣な表情になる二兎。

あれ?なぜかすごくかっこよく見える...。

普段はダメニートの二兎なのに!なんで???



「わ、わかった...。」



私はどぎまぎしながら目を閉じた。



「逃げるなよ。」



二兎が低い声で言いながら私の両肩を掴んできた。


逃げるなよ?どういうこと?

そしてこの状況ってまさか...


我慢できずに薄目を開けるとすぐ目の前に二兎の顔が。

そして次の瞬間には私の唇に二兎の唇が触れていたのだった。

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