1章
出会い
第1話
4月。
真新しい制服を着て、今日から3年間通う学校へ向かう。
並木道を歩いてると、同じ制服を着た生徒があちらこちらに見える。
制服の着くずし方によって先輩か同級生かすぐにわかる。
みんな初めの内は真面目にするもの。
もちろん私も、ある程度の校則に従っている。
「あー…始業式とかめんどくさい」
私の一歩前を歩く沙織がだるそうに呟く。
沙織は中学から仲の良い友達で、私と同じ考えだったらしく、家から一番近いこの学校を選んだ。
「どーせ身だしなみがどーのこーのでしょ」
舌打ち交じりに「誰が守るかっての」と続ける。
私は彼女のこういうはっきりした性格が結構好きだ。
少し小走りで沙織の横につく。
「沙織はまたバレー部入るの?」
「んー…どうしよっかなー、バイトしたいし」
「バイトできるのが特権だよね」
「そうなの!でもバレーもしたいしなー」
「両方しちゃえば?」
「えー」
わざとらしく顔を引きつらせると「そういう杏奈は?バスケ部入るの?」と沙織が尋ねてくる。
「んー」
新品のローファーを見つめる。
沙織の言った通り、中学はバスケ部に入っていた。
だが、顧問の先生が非常に厳しくて毎日練習の後はクタクタだった。
だから“高校生になったら絶対バイトしてやる!”って思ってたけど、どうも悩んでしまう。
バスケは好きだけど、きっと高校の練習は中学の頃なんかより比べてもっとキツいはずだ。
それに耐えられるかどうか不安である。
「考え中…」
なんて会話をしていると、校舎はもう、すぐそこだった。
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