第23話 対決『魔法軍団』

 僕たちは戦場へと急いだ。ノーマの野望を阻止するために。

 情報によると行軍はゆっくりらしい。

 それでも早く着かないと被害が増すばかりだ。


「サキさん、戦場はまだですか」

「申し訳ございません。もう少しかかります」

 移動は馬車であった。高速移動できる『魔法』があったらよかったのに。そういえば、ノーマは魔符で瞬間移動していたらしいな。多分あれは魔法を封じ込める紙のはずだから、瞬間移動できる『魔法』もあるはずだ。この戦いが終わったらそれも使えるようにしておこう。移動が楽になるはずだ。


 それから数時間後、僕たちは最前線に到着した。

 マーブル商会の名を出すと、指揮官へと案内された。


「急に敵が火とか雷が放ってくるので、対処のしようがなかった」

「わかりました。兵士たちは防御に専念しながら退いてください。後は僕が何とかしてみせます」


「君がかい? 危険だからそれは許可は出せないな」

「僕は伝説の『魔法使い』です。そして敵も同じです。だから僕が対処するのが一番適切なんです」


 僕は右手から火を出して『魔法使い』である証拠を示した。

 僕たち4人、アキミとモナミ、サキさんで戦場へと急いだ。


 僕たちは敵の前までやってきた。まだ魔法は届かない距離だ。

 あれがノーマの言っていた『魔法使い軍団』だろう。


 何か敵の様子がおかしい。

 例えるなら、『ゾンビ』といった所だろうか。足取りがふらふらとしている。

 気づいてしまった。『魔法使い軍団』の秘密に。


 約30年前に一時的に赤ん坊の神隠しがあったそうだ……

「ノーマ。あなたは『魔法使い』を人工的に『作った』のですね」

 僕は空へと叫んだ。目から涙があふれていた。


 こんなことがあっていいのだろうか。

 誘拐された男児幽閉して育てることにより、女性を知らないまま30歳を過ぎる。

 それで『童貞』『魔法使い』の完成である。

 ある意味簡単だが、時間のかかる計画である。


 風に乗って「おんな……」という声も聞こえてくる。知らないはずなのに、本能が求めているのだろうか。

 ここまでノーマはこの世界を滅ぼしたいのだろう。

 『魔法使い』軍団は統制が取れていない。あらぬ方向へ『魔法』を放つやつもいれば、ボーとして何もしないのもいた。


 僕は自分の魔法障壁を全員を包むように展開し、念のためモナミの『メリクリウス』でも守られている。

 この『魔法使い軍団』に罪はない。できればノーマ1人を倒して済ませたいところだ。


「ノーマ出てこい! 『魔法使い』カオルが地獄から復活してきたぞ」

 軍団の中から、見知った顔が現れた。ノーマだ。

「『魔法使い』という言葉につられて出てきてみれば、この前に壊した『魔法使い』ではありませんか。生きていたのですね。再開は嬉しいですが、私は世界を滅ぼすので忙しいのです。『魔法使い軍団』、あの小僧に集中して『魔法』を放て」


「そうはさせない。これが僕の新しい力だ」

 僕は『魔法限界突破』の能力を使い、新しい魔法を唱えた。


「レベルE EVE《イヴ》」

 すると天空から巨大な女神が飛来してきた。

 裸のようだが、全身金色に光っていて細部まではわからない。


「ねえ笑ってよ。そうしたら私、幸せになれる」

 そうEVEが言うと、EVEから発せられた光が軍団を包み込んだ。

 光に包まれた敵は次々と倒れていった。


「何ということだ。30年以上の年月をかけて作った『魔法使い軍団』がこうも簡単に壊滅させられるなんて。くそ、こうなったら貴様だけでも再び壊してやる」

 ノーマは魔符を取り出した。

「シャドーバイト」


「ノーマ、それは見切ったよ」

 僕の魔法障壁により、シャドーバイトは無効化してしまった。

「まだだ。これならどうだ。出でよ、ファイアボール、ウォーターカッター、ウインドストーム、シャイニングボルト、ダークネスライト」

 魔法がこちらへ放たれた。

 魔符に対してはEVE《イヴ》の効果は利かない。


 だから僕は次の魔法を唱えた。

「レベルA Alexander《アレキサンダー》」

 すると地面から城塞のようなゴーレムが出現した。そして『魔法』を全て防いでしまった。


「ノーマ、このAlexander《アレキサンダー》がいる限り、あなたの魔符は意味がない。投降してくれないか」

 それでもノーマは魔符を放つのを止めなかった。


「貴様に何がわかる。この俺様がうけた屈辱を。この世界は俺様を裏切ったのだぞ。さんざん俺を『魔法使い』ともてはやしたのに、そしてそれに応えるべく、俺も貢献してきた。しかし魔法が使えなくなったとたん、手のひらを返しやがった。最終的には不要になった俺様を殺そうとまでした。そんな世界は滅んでしまえ」


 どうやら魔符を使い切ったようだ。ノーマは地面に両手を付けてうなだれていた。

 僕はAlexander《アレキサンダー》を戻した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る