第34話【クリスマスの過ごし方】ト【変わらないものはない】
媛子の日本語は流暢だった。日本生まれの彼女は小学2年生の夏休みの時、一緒に暮らす祖母が散歩中、歩道橋で階段を踏み外し、足首を骨折してしまったことがありしばらくの間、入院生活を余儀なくされた。その時ほぼ毎日のように「自然豊かでゆっくり過ごせる母国へ帰りたい」と言い出したことをきっかけに退院後NZLに引っ越しをしたという。真珠星は媛子の祖母を心配した。
媛子「うん。大丈夫だよ!今は元気に過ごしているよ。今頃NZLで友達と浜辺でクリスマスパーティーしている筈だよ(笑)」
真珠星「浜辺でパーティー?!」
媛子「うん。あ、あとね。日本と違うことがあるの。サンタクロースがサーフィンしてやってくるんだよ!」
真珠星「何それ〜!?ソリじゃないんだ〜(笑)」
媛子は他にも色々と教えてくれた。日本と変わらない部分もあるようだ。それはクリスマスプレゼントとクリスマスケーキがあることだった。
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変わらないものはない。と言う意味の言葉があるらしい。それが【諸行無常】だ。
意味は『世のすべてのものは、移り変わり、また生まれては消滅する運命を繰り返し、永遠に変わらないものはないと言うこと。人生は、はかなく
萌香「———だって」
萌香は分厚い四字熟語辞書を捲りながら言った。それに対し全く興味のない真珠星が携帯の画面を見ながら適当に相槌を打つ。委員長が温かい紅茶を一口飲み答える。
委員長「人生って意外にあっけないものかもしれないわね……。ところで輪通さんその分厚い辞書どうしたの?」
萌香「地元の図書館で借りたの。ここまで持ってくるのちょ〜〜う大変だったよぉ。すんごい重いし……」
真珠星「それで、大きいリュックで来たわけか」
萌香「うん。……ってか夏休みの宿題に『四字熟語を使って何か文を作りなさい』って問題あるじゃん。あたし何も思い浮かばなくて困ってるの」
真珠星が身も蓋もないことを言い出す。
真珠星「ってかさ、携帯で調べりゃ良かったじゃん。私、そうしたよ」
萌香は手に持っていた辞書を床にバサっと落とした。昼1時を回りゲリラ豪雨が降り続く中、ヨーロッパ風のおしゃれな内装のカフェ店内で雨宿りをしていた萌香達。
真珠星のあの一言で萌香の心の中でもゲリラ豪雨が降り出してしまったようだ。
34話End
お題【クリスマスの過ごし方】24‘12/26
【変わらないものはない】24‘12/27
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