第22話 重大機密
「で、相談と言うのは何でしょうか?」と桜が言った。
「第3S級ダンジョンのラスボスを倒した時に手に入れたスキルの事なんだが……」
「待って、それって【異性間保有スキル譲渡、譲受スキル】の事?」
「えっ、知ってたの?」
「ええ、メアリーと恵からそれぞれに相談されてたのよ。彼女達もそれぞれそのスキルを入手したらしいけれど、その方法が余りにも特殊なので、どうしたら良いかと悩んでいたわ。でも秋葉さんの方法と彼女達の方法が同じなのか確認したいので、秋葉さんの方法を教えて下さいませんか?」
「そうだね。違う点もあるかも知れないものね」
で、俺の譲渡、譲受の方法を開示する。
1、手を繋ぐ
この状態で【スキル交換】と念じると俺の持っているスキルを威力50%の能力分をコピーして相手に譲渡出来、相手の全スキルを50%の能力で譲受可能。つまり、お互いのスキルを交換出来る。
俺のスキル数10個と相手のスキル5個で交換することもある。
「スキルを沢山保有している方が損することになるのね」
2、キスした状態でスキル交換と念じることでお互いの保有スキルを60~70%の威力で交換できる。
「60%と、70%の違いは何で?」
「軽く唇を合わせると60%。ディープキスだと70%になるらしい。試していないから判らないけどね」
3、肌を合わせる(裸で抱き合ったり愛撫する)と90%で交換。
4、エッチすると100%の威力で交換可能
以上、お互いの同意の上でのみ交換することが出来る。
「とまあこんな感じなんだ」
「成る程ね、これじゃスキル交換なんて気軽には出来ないわね。お互いの信頼関係が良好なら威力の高いスキル能力を交換出来るってことなのね」
「そうなんだ。そうじゃないとセクハラになっちゃいそうだから封印しようかと考えたけれどあの2人には強くなって自分の命は自分で守れるようになって欲しいし。俺ももっと強くなりたいし……どうしようか悩んでいたんだ」
「お互いの同意の上ならば構わないと思いますけど……」
桜はしばらく考え込んでいたが意を決したように言った。
「あの、まず私で実験してみませんか?」
「えっいいの?本当に?」
「はい。秋葉さんの初めてを私に下さい。私の秘密を秋葉さんに貰って欲しいんです。お願いします」
何だか意味深な、凄く色っぽい雰囲気になってしまった。
(これは実験。ただの実験だ)
俺は自分に言い聞かせて桜の手を取った。
『【スキル交換】』
念じると俺と桜の間を熱を帯びた何かが循環した。
「凄い。秋葉さんのスキルってこんなに有ったんですね。私はそんなにスキルを持っていないから申し訳ないです」
「いやいや、俺には無かった稀有なスキルを入手出来て嬉しいよ」
口には出せないが彼女の持っていたスキルの中の1つ【房中術】と言うスキルが気になった。
桜には【スキル譲渡譲受スキル】はないのだが交換はできるようだ。但し威力は25%だった。どうやらお互いがあのスキルを持っていないと50%にはならないようだ。
さて、次の実験。キスした場合だ。
俺が遠慮していると桜が大胆にも自分から唇を合わせて来た。
実験のつもりだったのに、互いに好意を持っている男と女がキスしたらそれで済むわけがない。身体が燃える様に熱くなって、自然にディープキスに移行していた。
天の声さんも空気読んだのか声じゃ無く、感覚でスキルが70%の威力で交換出来たことを伝えてくれた。
「桜、今日より
プロポーズしていた。素直に言えた。もう実験ではなくなっている。
「はい。よろしくお願いいたします。でも1つだけお願いがあります」
「なに?」
「私以外の女性とは最後まで行かないで。ペッティングまでなら許せるけれどそれ以上は出来ないように、呪いというか魔法契約を交わして欲しいの。
桜は真剣な表情で懇願した。
「そんな事出来るのかい?」
「はい。私の持っている【房中術】なら可能です。隠さずに伝えておきます。私の家【二集院家】は代々日本のリーダーとなるお方を陰から支えてきた家系です。ですので必要なことが有れば暗殺も辞さないし、ハニートラップを仕掛けることも有ったそうです。私はそんな経験は無いですが、知識として祖母から伝えられています。その中には大事な男性が自分以外の女性とやむを得ずそういう行為に至りそうな場合には男性に子を作れない呪いを掛けることも出来るのだそうです」
「もしかして坂本長官は?」
「はい、もうすぐ総理大臣になられるお方です」
「じゃあ俺と結婚したら秘書の仕事はどうなるの?」
「大丈夫です。私の妹が引き継ぐ事になっています」
そう言えば、以前、坂本長官から「結婚式には招待してくれよ」と言われたことを思い出した。
あの頃から桜は今日の日を予見していたのだろうか?
「坂本長官には以前にこうなるだろうと予見していることをお伝えして有ります。勿論我が家の家族全員にも伝えて有ります」
知らなかったのは俺だけだったようだ。
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