第13話 素材の売却

場所を変えて素材の売却時間になった。

「おお、A級ダンジョン3か所分の素材がこんなに沢山!」

冷凍ミカンの実が3万個も!これは高級レストランでの需要が多くて困っていたので大助かりだ」

「こっちは超熱帯パイナップルが3万個!凄い凄い、流石,秋葉さんだ」

さらにS級ダンジョンの素材を出すとお祭り騒ぎになった。

2種の竜の肉は100㎏ずつ売らずに残した。あのハンバーグの味が忘れられないので、自家消費分だ。ミスリルインゴットも100㎏手元に残しておいた。【鍛冶スキル】とか【錬金術】が使える様になったら色々作ってみたい。それでも10億円以上で売れたので老後は安泰だが、まだまだ引退できそうにない雰囲気だ。もっとA級収集人とS級収集人が増えて欲しい。日本に残って働いてくれ。


「そういえば、明日で養魚場の留守番達の契約期間終了ね」

「ああ、そういえばそうだったな、それじゃあ明日は彼等の打ち上げ食事会と行くかな……紫苑の絶品料理で」

俺がボソッと呟いたのを桜が聞き逃さずこう言った。

「私も参加させて下さい。これでも彼ら、彼女らの面接をして相談相手になって来ました。参加資格は有るとおもいますけど」


「そりゃいいけど、秘書の仕事は大丈夫なのか?忙しいんじゃないのかい?」

「ちょっと長官に相談して来ます。秘書は私だけじゃないですし、きっと大丈夫ですよ」

善は急げとばかりに桜は坂本長官の下に行って交渉を始めた。

桜って、あんな積極的な娘だったかなあ?と思っていると

「秋葉さん、桜様は秋葉さんのお嫁さん候補なのですか?」

紫苑が訊いて来た。

「いやいや俺なんかじゃ彼女には釣り合わないよ。元収集人仲間として親しく付き合ってもらってるだけだよ」

「ふーん、秋葉さんの弱点発見」

「ん?今なんて?」

「何でも有りません単なる独り言です。お気になさらずに」

何て言ってる所に桜が戻って来た。

「長官の許可は頂きました。では留守番スタッフ全員に養魚場に集合するように声をかけておきます。何時がよろしいでしょうか?」

「転移装置はまだ持っているのか?回収してないんだ」

「はい、もしかして秋葉さんのS級ダンジョン踏破が遅れた場合引き続き契約延長する必要があるかと思いまして回収はしておりませんでした。でも、とりこし苦労ということでしたね。私まだまだ秋葉先輩の実力を信じ切れていませんでした。恥ずかしい限りです」

「そんなことないよ、ダンジョンって何が起きるか判らないし気を回してくれてて有難いよ」

「ほんとですか?お役に立てたなら嬉しいです」


「んん、あーあー、お取込み中済まんが、俺はそろそろ書類整理の仕事に戻るよ」

坂本長官だった。

「今日はお付き合いくださいましてありがとうございました」

俺が礼を言うと長官は握手を求めてきた。恐る恐る手を取ると、長官が言った。

「秋葉君、今後も日本の為に収集人を続けてくれたまえ。お願いするよ。それと桜君との結婚式には是非俺を招待してくれないか。頼むよ」

「ええええー」

何でそういう話になるのか理解出来なくて思わず叫んでしまった。チラと桜を見ると顔を真っ赤にして俯いている。必死で否定しないのが嬉しかったりする。長官の冗談だろう、本気にして恥をかかないようにしないとな。


そんな時に俺のスマホが鳴った。姪の紗耶香からだった。長官に断りを入れて電話に出ると

「おじちゃん大変、おっきい魚の色が変わって来たの!病気かなあ?」

「落ち着いて、写真を送ってくれ」

「うん、判った」

紗耶香が送って来た写真を見ると赤っぽい茶色っぽい黄色と黒の混ざったような派手な色になっている。そうだ、これは婚姻色だ。

「紗耶香よく聞いて、これは産卵が近くなった合図だよ。まだ時間の余裕は有るからそのままにしておいて俺の帰りを待っててくれ。明日は打ち上げのパーテイーするから家に帰らないで待っててくれよ。相棒の女の子にもそう伝えといてくれないか」

「うん、判った。待ってるね」


「採卵の時が来たようだね。人手が必要なら桜君に言って手配してもらうといいよ。それじゃ俺は行くよ」

「坂本長官、どうもありがとう御座います」

結婚式、云々うんぬんが有耶無耶になってホッとした俺がいる。

桜と結婚したく無い訳じゃ無く考えてもいなかったことで慌ててしまっていたのだ。


その事については後でじっくり考えることにして採卵準備をしておこう。

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