第4話 現役女子高生の……
「今なんて言った?」
「だからさぁ、キスしてあげるって」
ちょっと待て! キスってそんな軽々しく出来るものなのか? ……まぁ外国じゃ挨拶見てぇなもんだって言うけど……。
でもこれはまずいんじゃねぇのか? 女子高生とキス?
いやいやそれはありえねぇ。
「いやそれはまずいだろう? 俺おっさんだぞ?」
「あ、もしかして私じゃ不満なの? それとも私のことが嫌いなのかな?」
「いやそうじゃなくて。そんな簡単にキスとかしちゃダメだろ」
俺がそう言うと彼女は頬を膨らませて言った。
「ぶぅー! そんなんじゃ女の子にモテませんよ!」
いや別にモテなくてもいいけどね。俺今独り身だし……ってそんなこと今はどうでもいいか。
「私は別にいいんですけど。どうしますか?」
う~ん……女子高生とキスねぇ。それも悪くないのか? いやでもこれはないわぁ。
俺がそうやって悩んでると繭が俺に近づいてきてこう言った。
「もう! じれったいわね! そんなんだからモテないのよ」
彼女はそう言って俺の首に両手を回すとそのまま自分の唇を俺の唇に重ねてきた。そして彼女の柔らかい唇の感触が俺の唇に伝わってくるのを感じると俺は慌てて彼女から離れようとしたのだが、彼女が俺の頭をしっかりホールドしていて離れることができない。
「ちょっと! ……やめろって!」
俺は必死に抵抗したが、彼女の力は結構強く中々引き剥がすことが出来なかった。そうこうしている内に繭の舌が俺の口の中に侵入してきて俺の舌に絡みついてくる。その感触はとても柔らかく温かかった。そしてその生々しいまでの行為に俺は頭がクラクラしてきた。そしてしばらくするとようやく彼女は俺から離れてくれたのだが、その時すでに俺の下半身はビンビンになっていたのだった。
そんな俺に繭は言ったのだ
「ねぇ、山田さん。もう1回……しよ?」
そう言って彼女は妖艶な笑みを浮かべたのだった。
そんな訳で俺たちは近くの公園で再びキスを交わしていた。
「うん、やっぱり山田さんはモテると思うよ」
繭はそう言うと俺の顔から手を離した。俺は彼女に唇を離された瞬間かなり名残惜しいと思ってしまったのが顔に出てしまったのだろうか? それとも俺と繭はまだ繋がっているかのようにお互いの唾液でできた銀色のアーチが俺たちの口を繋いでいたせいだろうか? どちらにしろ繭は俺のそんな顔を見てクフフと笑ったのだ。
「もう、そんなに私とのキスは良かったんですか?」
「……あ、いや」
そんな繭の言葉に俺は思わずドキリとしてしまった。
「まぁいいですけどね。でもこれで山田さんは私の彼氏になったんですからね? もう浮気とかしたらだめですよ」
「はぁ? 彼氏って……」
「あははは、マジになっちゃたんですか? うふふ……冗談ですよ私は彼女いませんし、彼氏もいませんよ」
「いや……繭は可愛いんだからすぐに彼氏なんてできるだろ?」
「ん? 私の事可愛いって思ってくれてます? ありがとうございます。でも無理ですよ。私モテませんからね」
「そうなのかな?」
俺はそうは言ったが、確かに彼女のような美少女ならすぐに彼氏の1人や2人出来そうなものだけどな。まぁ俺の勝手な思い込みか。しかし……本当に彼女はモテると思うんだけどなぁ? そんなことを考えていると繭が俺に聞いてきた。
「ところで山田さんは……本当は彼女さんと聞いたりします?」
「ん? 」
俺は困ってしまった。まさか本当の事を言うわけにはいかないしな。どう誤魔化せばいいのかな? そんなことを考えていると繭はじっと俺の顔を見ていたのだが、しばらくしてにっこりと笑ったのだった。その笑顔はまるで天使のようだった。そして彼女は言ったのだ。
「まぁ、言いたくないならいいですけど」
いや、全然良くないんだけど! でもここはなんとかしないとな。
「それより、なんで俺にキスなんかしたんだ?」
俺がそう聞くと繭は顔を真っ赤にすると俯いてしまった。そして小さな声で呟いたのだ。
「……だって……山田さんが……」
え? 聞こえないんだけど? 俺が首をかしげていると彼女は意を決したように顔を上げると再び言った。今度は聞こえるように大きな声ではっきりと言ったのだった。それは……俺の心を鷲掴みにする言葉だったのだ!
「だって……山田さんかっこいいんだもん!」
俺は思わずドキリとした。いやまさか女子高生にこんなことを言われるなんて!
「はぁ……かっこいいか? こんなおっさんが」
俺は照れ隠しするように言ったのだが、繭はそんな俺の言葉など聞いていないかのように話を続けた。
「うん、すごくかっこよかったよ! もう私ドキドキしちゃったもん!」
「そ、そうか?」
「そうだよ! それにさ、私を助けてくれたし」
「いやあれは……」
そんなの当然だろ? だってあんな可愛い子が絡まれているんだぜ? 助けるに決まってるじゃないか。しかし彼女は俺の言葉を聞いていなかったのか、そのまま続けたのだった。
「だからお礼がしたいの」
そう言ってまた俺にキスをしてきたのだ。今度は触れるだけの軽いものだったけど……それでも彼女の柔らかい唇の感触を感じるには十分すぎるものだった。俺は一瞬何が起こったのか理解できなかったがすぐに我に帰ると慌てて彼女から離れたのだった。
そして彼女の顔を見ると頬を赤らめながら俺のことを見つめていたのだ。
そんな彼女に見つめられると俺は何も言えなくなってしまうのだが、何とか言葉を絞り出すようにして言ったのだった。
「あ、あのさぁ、こういうのは良くないと思うんだよ」
「え? どうして?」
「いやだって俺たちは……その初対面だし、それに俺みたいなおっさんよりも君ならもっとお似合いの人がいるだろうからさ」
俺がそう言うと繭は少し考えてから言った。
「それってつまり私は山田さんにとって好みのタイプじゃないってこと?」
俺は一瞬ドキリとしたが平静を装って答えたのだった。しかし心臓はバクバクだ! そんな俺の心情など知らない彼女は更に続ける。
「そっかぁ、私ってそんなに魅力ないかな? 」
「い、いやそんなことはないよ。君ならきっとすぐにいい人が見つかるんじゃないかな」
俺がそう言うと彼女はにっこりとほほ笑んだのだ。その笑顔がとても可愛いらしくて俺は思わずドキッとしてしまったのだった。そんな俺に繭は聞いた。
「それじゃぁ私山田さんにとってどんな人なの?」
「え? いや……それは」
そう聞かれても彼女とは知り合ったばかりなのに。女子高生と言うのはこんなに押しが強いものなのか? キスすることにも何の思惑もなくしてしまうものなのか?
それに問われたどんな人? と言われても――だなぁ。
返答に困る俺である。
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