第49話『進軍! モルデール連合軍』
タンクホルム山の細い道アイアンウルフ峠を抜けると、そこには大国ヴァルガーデンの入り口で、『漆黒騎士団』を率いたブラック・シャドウリーフの名を冠した渓谷シが広がる。
モルデール連合軍の正面軍を預かるシリアスは、
その
四方を
ラストウッド村は、600人ほどが暮らす小さな村で、ブラックの課す
シリアスは、ガーロンに命じた。
「ラストウッドの住人をすべて広場に集めよ!」
「若様、何をなさいますので?!」
「皆を集めればわかる」
と、
シリアスはラストウッド村の住人を広場にすべて集めるとまるで真の王の風格を持って高らかに宣言した。
「今日より、ラストウッド村は、ヴァルガーデンの支配下を離れ、我らモルデール連合軍の支配下に入ることとする。これまで、ブラック・シャドーウッドが行ってきた領内政策を全面的に見直す。税は三公一民、使役は嵐や地震などの天災の時期を除いてはおおむね
シリアスのこの宣言に領民は
「シリアス様、万歳! モルデール連合軍、万歳!」
シリアスの隣に並んだガーロン・ヴァルダーが、馬首を寄せてシリアスに尋ねた。
「シリアス様、ちと、甘すぎではございませんか?」
シリアスは、ガーロン・ヴァルダーにだけ聞こえる声で、「いいのだ、これで。今はブラックの領内を無傷で抜けて、来るべく敵、ヴァルダー。お前の息子トリスタンと『黄金騎士団』を打ち破らねばならない」と
ガーロンはさも嬉しそうに、「ガハハッ! ワシが鍛え上げた
と、豪快に笑った。
※ ※ ※
大河マルサネス川をヴァルガーデンへ向けてガレオン船の
舵を切るオルカンが隣のマリーナに、「マリーナ、もしやすると向かう敵はレオになるやも知れぬぞ、それで真に良いのか」と問うた。
マリーナは、波風を受けながら、「レオは私とシリアス様の実の息子、シリアス様と
脇に控えるアレンは、マリーナの覚悟を聞くと、レオの
オルカンは、娘の覚悟のほどを聞いて、「よし、すべての帆を張れ、ヴァルガーデンへ向けて先を急ぐぞ!」と舵を切った。
※ ※ ※
遠くタンクホルムを後ろに
空間に
アリステロが目をパチクリと白黒させながら小枝を
アムが、疲れた素振りをみせるアリステロに
「アリステロ、大魔法を使った後のMPもまだ完全に回復しておらぬと言うに、無理をさせてすまぬ」
アムはアリステロの
「アム様、アリステロは涙が出るほど嬉しゅうございます。ですが今は、憎きダークス・ストロンガー
参りましょう」
と、アムの優しさと
サンチョが、景男に尋ねた。
「ポジラー様、
それもそのはず、ここは木々が生い茂るモルデールと違って、
景男は、丘陵の向こうに見えるヤシの木が何本か立つホルサリムを指さした。
「みんな、とりあえず、オレたちはあそこを目指そう! 話はそれからだ」
サンチョが、小首を傾げて言った。
「でもようポジラー様、昔、
つづく
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