第24話 次の制作
エリナが寝たきりを演じてもらってから一ヶ月ほど建った。
この間、オレはダンジョンやその他の危険な運搬に備えて、逃げる術や耐える方法を模索していた。
そんな中の一つに粉末にしたフォトン結晶とエネルギー結晶を組み合わせて防護服の制作可能と書かれていたのを思い出した。
ただ、服やズボンに使うには必要量に加えて可動域の部分だけが減ったりと問題が生じそうなため、比較的簡単に練り込めそうなマントで試してみることにした。
…したのだが、粉末にする道具からなんとかしないといけなかった。
オレはオレを蹴っていたラーフェンさんではなくて、オーベルさんにハンマーと台と貸してくれないか相談すると、休憩時間に使うなら構わないと言ってくれた彼は、温厚で理解のある人だった。
それに、オレを蹴ってきた人になんて相談もしたくもない、ってのが本音だ。
ま、これで粉末は出来るだろうが…
粉末が故に道具や周りに多少は残ってしまうのが気がかりだった…
けど、量がしれてるから鉱石だとはバレない…と思う…思いたい…
そんなこんなで、粉末ができた。
後は、これをマントに練りこんでいけば…と、思った矢先。
これ、このままじゃ、使っているうちにすぐに粉が落ちてしまうんじゃないか?
…どうすればいいんだ?
とりあえず、粉末にした鉱石を革袋に詰めて、考えてみた。
「うう~ん…」
オレが腕を組んで「うんうん」唸っている時にカイルが通りかかり、声をかけてきた。
「なに、唸っているんだ、レイ?」
「いあ…ちょっと」
そう言ったオレだが、ダメもとでカイルにどうすればいいか、聞いてみることにした。
「…なぁ、カイル。例えば、布に粉を練り込んで、その粉を落とさないようにする方法って知らないか?」
そのオレの問にカイルはすこし考えて、答える。
「オレがここに来る前の村じゃ、そういう時に松脂とか塗ってた気がするなぁ。あやふやな記憶だけどな。はは…」
カイルはその村のことを思い出したのか、寂しそうな表情を浮かべて答えてくれた…
「わるい…思い出させてしまったな…ほんと、すまない」
「いいさ…別に今はどうも思わないよ…それより、これからのことを考えるので手一杯だよ…っと、オレはもういくな。もたもたしてたらガレーさんに怒られちまう。じゃあな」
「ああ、気をつけていけよ」
と、カイルは小走りで行ってしまった。
松脂かぁ…
まあ、松脂じゃなくても何かの保護膜みたいなモノがあればいいのか。
まわりの森や気を観察してみたが、松なんてあるわけもない…
他になにがあるんだ?
「………」
…別に保護できればなんでもいいんだよな?
たとえば、前のダンジョンにいたミストスライム…
あっ…スライムだ! ジェルがどうとか言ってたな。
あの冒険者の人。
「………」
…それに、別にスライムじゃなくても他の魔物で保護が出来そうなモノでも…
…そうと決まれば、荷物持ちとして頑張ってみるかっ!
それに、冒険者の人にも聞いてみよう。
そして、それらしきものがあれば買い取ってもいいっ!
こういう時のために銀貨貯めてたんだしっ!
オレは、やることが決まり目標が決まって、やる気が出てきた。
それに、もし防護服が出来ればエリナやリュウやカイルにも作って、持っていてほしい。
きっと、守ってくれるはずだっ!
よーし、いっしょ頑張ってみるかっ!
そう、オレは決意を固めたのだった。
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