第52話
しばらくして誰かのスマホから
音が鳴っているのが聞こえる。
「 雅 、スマホ鳴ってるよ!」
「 …っえ、私 … 、?」
「 多分 …。私のではない。」
もし鳴っているのがあたしの
だとしたならすぐに分かる。
雅は『ごめんね!』と言ってサッと
身体を離し、クルッと身体の向きを
変え鞄の中をゴソゴソと探し始める。
見付かった所で出るかと思ったがずっと
黙り込んだままで出ようとはしない。
「 …雅…、? 出ないの…、?」
彼女の様子が明らかにおかしい
事に気付き、声を掛ける。
「 …あっ、ご、ごめんね! 栞、私そろそろ
帰るね!ただ、これだけは約束して!」
「 え 、約束 、? 」
「 1人で抱え込まない!1人行動はどんな
事があっても絶ッ対しない!良い?!」
「 …あ、え、う、うん。」
あたしの事よりも雅に起きた事の方が
気になるけれどここはグッと堪えて返事を
返すと雅はニッコリと笑って見せて
手を振って『またね!』と言って帰った。
結局最後までどうやってあたしを見付けて
ここまで連れて来たのか聞けなかった。
それよりも、 雅 、あたしに何か隠してる、?
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