第12話


 え?超有名人?やっぱ違う人じゃない?だって私の知ってるハルトくんは学校で噂になるほどの人じゃなかった。むしろそれは匠海の方だったし。



「ねぇ菜帆、菜帆が知ってるハルトって人の漢字は?」


「 へ?え、漢字!?えーっと、あてにしないで欲しいんだけど遙に…人じゃなかったかな〜?」



 ______ 遙に人 … ? しかも如何いかにも難しそうなハルの方。え、あれ、待って、ハルトの漢字が違う気がする。私の知ってるハルトくんは、覚えている限りだけど遥かの遥に人でハルトだった。ということはやっぱり今朝会った人は違う。



「もしかしてだけど私の知る橘 遙人と栞が引っ掛かってるそのハルトくんが同一人物かどうか確かめようとしてる?」


「うん。でもあんなイケメン知らないし、定かじゃないけど名前の漢字が違うから同姓同名かも。」


「なるほどね。顔どころか名前も違う。でも過去に栞と面識がある子と同姓同名…ねえ?真相は本人に確かめない限り解決しなそうだね。でもお顔は女子達の噂通り私から見てもかなりのイケメンだと思うよ〜。中学の時を知らないけど何かきっかけがあって変わったんじゃない、?」



 彼に何か起きたとしてもあんなに変わる?菜帆が言うように彼とハルトくんが同姓同名ってだけじゃ、私が知ってるハルトくんと同一人物かどうかなど本人に確かめない限り一生解決しない。



 だが今はそんなこと考える余裕どころか時間などないので、深く考えないように菜帆に取り敢えず 「まぁ、今は忘れる!」そう一言言い、一度止めた足を再び進め、教室に着いた所で扉を右横にスライドさせて菜帆と共に中へと入る。



 そしてそこで黒板に大っきく貼られている2枚の用紙に目を向け、左側にある座席表を見て私の身体は固まり、同時に脳内も思考停止に陥った。

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