冒頭から地縛霊と自然に会話しているという大胆な世界観からスタート。あらすじに目を通してからの方が読みやすいかもしれません。幻想的な港の様子。訳ありな二人。静かで確かな筆致が雨と物語の湿度を演出し、それぞれの思いが明らかになっていきます。ラストには、これまで読者が抱いてきた「違和感」が輪郭を持ち始めます。物語の作りが高度なため、多少読みづらいところはありますが、この繊細な作りには触れて損はありません。雨に閉ざされた世界に、彼らと一緒にぜひ沈んでみてください。