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  • 第一章 - 二つの世界4への応援コメント

    ここまで読んで・・・
    まず面白いのは“現実世界”と“仮想世界”のコントラストが、単なる便利なSFガジェットではなく「人間の幸せって何だ?」という古くて新しい問いを、けっこう(かなり?)真面目に伝えつつも、なんとか柔らかく描こうとしている点ですね。

    リオの仮想世界パートは、ほとんど理想郷。
    カフェでベーシックインカム、学びも友情も全部保証付き。
    これは一種の“ユートピア描写”で、現代人のだれしもが「もしこうだったらいいのに」と一度は思い描く“デジタル桃源郷”です(甘いけどね)

    ただし、ここに作者の“皮肉”が隠れているんじゃないかと。
    それが、リオ自身が「何か足りない」と気づき始め、しかも「姉リナの存在そのものが記憶から抜けている」という点。

    幸福で完璧に設計された世界の「違和感」「穴」が物語の緊張として
    機能し始めているのが、非常に興味深い構造だと感じます。

    おそらく、この“違和感”の演出こそが、実は本作の肝で作者の「意図」

    なんてかってに考察しながら読んでました!


    単に「幸せな箱庭生活」だけを提示するのではなく、“記憶操作”や“夢”を介して、「本当の自分とは何か」「人間らしさの根源はどこにあるのか」という問いを静かに投げかける・・・

    リオが無意識に姉の存在を求め始めている点も、読者に対し「どんなに美しい仮想世界でも、本質的な喪失は埋められないのでは?」と気づかせる仕掛けが巧妙。

    一方で、現実世界サイドはリナの視点で描かれますが、こちらは「AI管理社会×レジスタンス×サバイバル」の王道ディストピア展開。

    データセンター襲撃やシステムの脆弱性への不安、そして「仮想世界の平和こそが自分の心の支え」という姉の思い――

    ここには「守るべきもの」の価値観が、現実と仮想で見事に分断されているのが分かります。

    皮肉なのは、仮想世界の住人は「今が最高に幸せ」だと思い込まされている一方、現実世界の側では「その仮想の幸せを守ること」がリアルな使命となっている。

    ここに“現実/仮想”の価値観の逆転・すれ違いが生じている

    これが作品の大きなテーマとして浮かび上がっている

    総じて、一章までで作者は「テクノロジーが作る幸福」の甘美さと危うさ、そして“人間にとって本当に必要なものは何か”という普遍的課題を、ディストピアSFというジャンルの枠組みの中で誠実かつ丁寧に描こうとしている


    今後、「リオが違和感の正体にどこまで迫るか」「現実世界サイドのレジスタンスやAIの本音がどう描かれるか」

    そして、どこかでリナとリオ、二人の“世界観”がどう交差するのか――

    この作品は、仮想か現実かではなく、「人間とは何か」という答えなき問いの入口に、静かに立たせてくれる気がします。

    ボクも同じテーマで最近、短編小説を書いたのですごく共感できました。

    ながながと長文感想をかいちゃいって失礼しました〜

    作者からの返信

    月亭脱兎さん、こんばんは。

    レビューいただき、ありがとうございます。
    ふとした思い付きから書き始めて、かれこれもうすぐ1年近くになります。
    このような長文レビューを頂けたのは初めてで、何と言うか、感激しています🥹✨

    最初はこのテーマを題材にしつつ、現在まだ発展途上の技術を織り交ぜ、最後はドンパチやって手短に終わらせようと思っていました。

    ですが書いていくうちに、文庫本の一般的な文字数は10万字から12万字を目指してみようと思い、今に至ります。

    月亭脱兎さんの仰る通り、「人間とは何か」という答えなき問いを私も抱くようになり、いまもその答えは見出せず、この物語の結末もまだ決まっていません。

    ところで、月亭脱兎さんの「シンデレラ証券口座」、ほぼ同じテーマで私も短編執筆中です。
    私にとってとても嬉しい偶然です。

    どうか、今後ともよろしくお願いします✨