2025年6月13日 03:12
第一章 - 二つの世界4への応援コメント
ここまで読んで・・・まず面白いのは“現実世界”と“仮想世界”のコントラストが、単なる便利なSFガジェットではなく「人間の幸せって何だ?」という古くて新しい問いを、けっこう(かなり?)真面目に伝えつつも、なんとか柔らかく描こうとしている点ですね。リオの仮想世界パートは、ほとんど理想郷。カフェでベーシックインカム、学びも友情も全部保証付き。これは一種の“ユートピア描写”で、現代人のだれしもが「もしこうだったらいいのに」と一度は思い描く“デジタル桃源郷”です(甘いけどね)ただし、ここに作者の“皮肉”が隠れているんじゃないかと。それが、リオ自身が「何か足りない」と気づき始め、しかも「姉リナの存在そのものが記憶から抜けている」という点。幸福で完璧に設計された世界の「違和感」「穴」が物語の緊張として機能し始めているのが、非常に興味深い構造だと感じます。おそらく、この“違和感”の演出こそが、実は本作の肝で作者の「意図」なんてかってに考察しながら読んでました!単に「幸せな箱庭生活」だけを提示するのではなく、“記憶操作”や“夢”を介して、「本当の自分とは何か」「人間らしさの根源はどこにあるのか」という問いを静かに投げかける・・・リオが無意識に姉の存在を求め始めている点も、読者に対し「どんなに美しい仮想世界でも、本質的な喪失は埋められないのでは?」と気づかせる仕掛けが巧妙。一方で、現実世界サイドはリナの視点で描かれますが、こちらは「AI管理社会×レジスタンス×サバイバル」の王道ディストピア展開。データセンター襲撃やシステムの脆弱性への不安、そして「仮想世界の平和こそが自分の心の支え」という姉の思い――ここには「守るべきもの」の価値観が、現実と仮想で見事に分断されているのが分かります。皮肉なのは、仮想世界の住人は「今が最高に幸せ」だと思い込まされている一方、現実世界の側では「その仮想の幸せを守ること」がリアルな使命となっている。ここに“現実/仮想”の価値観の逆転・すれ違いが生じているこれが作品の大きなテーマとして浮かび上がっている総じて、一章までで作者は「テクノロジーが作る幸福」の甘美さと危うさ、そして“人間にとって本当に必要なものは何か”という普遍的課題を、ディストピアSFというジャンルの枠組みの中で誠実かつ丁寧に描こうとしている今後、「リオが違和感の正体にどこまで迫るか」「現実世界サイドのレジスタンスやAIの本音がどう描かれるか」そして、どこかでリナとリオ、二人の“世界観”がどう交差するのか――この作品は、仮想か現実かではなく、「人間とは何か」という答えなき問いの入口に、静かに立たせてくれる気がします。ボクも同じテーマで最近、短編小説を書いたのですごく共感できました。ながながと長文感想をかいちゃいって失礼しました〜
作者からの返信
月亭脱兎さん、こんばんは。レビューいただき、ありがとうございます。ふとした思い付きから書き始めて、かれこれもうすぐ1年近くになります。このような長文レビューを頂けたのは初めてで、何と言うか、感激しています🥹✨最初はこのテーマを題材にしつつ、現在まだ発展途上の技術を織り交ぜ、最後はドンパチやって手短に終わらせようと思っていました。ですが書いていくうちに、文庫本の一般的な文字数は10万字から12万字を目指してみようと思い、今に至ります。月亭脱兎さんの仰る通り、「人間とは何か」という答えなき問いを私も抱くようになり、いまもその答えは見出せず、この物語の結末もまだ決まっていません。ところで、月亭脱兎さんの「シンデレラ証券口座」、ほぼ同じテーマで私も短編執筆中です。私にとってとても嬉しい偶然です。どうか、今後ともよろしくお願いします✨
第一章 - 二つの世界4への応援コメント
ここまで読んで・・・
まず面白いのは“現実世界”と“仮想世界”のコントラストが、単なる便利なSFガジェットではなく「人間の幸せって何だ?」という古くて新しい問いを、けっこう(かなり?)真面目に伝えつつも、なんとか柔らかく描こうとしている点ですね。
リオの仮想世界パートは、ほとんど理想郷。
カフェでベーシックインカム、学びも友情も全部保証付き。
これは一種の“ユートピア描写”で、現代人のだれしもが「もしこうだったらいいのに」と一度は思い描く“デジタル桃源郷”です(甘いけどね)
ただし、ここに作者の“皮肉”が隠れているんじゃないかと。
それが、リオ自身が「何か足りない」と気づき始め、しかも「姉リナの存在そのものが記憶から抜けている」という点。
幸福で完璧に設計された世界の「違和感」「穴」が物語の緊張として
機能し始めているのが、非常に興味深い構造だと感じます。
おそらく、この“違和感”の演出こそが、実は本作の肝で作者の「意図」
なんてかってに考察しながら読んでました!
単に「幸せな箱庭生活」だけを提示するのではなく、“記憶操作”や“夢”を介して、「本当の自分とは何か」「人間らしさの根源はどこにあるのか」という問いを静かに投げかける・・・
リオが無意識に姉の存在を求め始めている点も、読者に対し「どんなに美しい仮想世界でも、本質的な喪失は埋められないのでは?」と気づかせる仕掛けが巧妙。
一方で、現実世界サイドはリナの視点で描かれますが、こちらは「AI管理社会×レジスタンス×サバイバル」の王道ディストピア展開。
データセンター襲撃やシステムの脆弱性への不安、そして「仮想世界の平和こそが自分の心の支え」という姉の思い――
ここには「守るべきもの」の価値観が、現実と仮想で見事に分断されているのが分かります。
皮肉なのは、仮想世界の住人は「今が最高に幸せ」だと思い込まされている一方、現実世界の側では「その仮想の幸せを守ること」がリアルな使命となっている。
ここに“現実/仮想”の価値観の逆転・すれ違いが生じている
これが作品の大きなテーマとして浮かび上がっている
総じて、一章までで作者は「テクノロジーが作る幸福」の甘美さと危うさ、そして“人間にとって本当に必要なものは何か”という普遍的課題を、ディストピアSFというジャンルの枠組みの中で誠実かつ丁寧に描こうとしている
今後、「リオが違和感の正体にどこまで迫るか」「現実世界サイドのレジスタンスやAIの本音がどう描かれるか」
そして、どこかでリナとリオ、二人の“世界観”がどう交差するのか――
この作品は、仮想か現実かではなく、「人間とは何か」という答えなき問いの入口に、静かに立たせてくれる気がします。
ボクも同じテーマで最近、短編小説を書いたのですごく共感できました。
ながながと長文感想をかいちゃいって失礼しました〜
作者からの返信
月亭脱兎さん、こんばんは。
レビューいただき、ありがとうございます。
ふとした思い付きから書き始めて、かれこれもうすぐ1年近くになります。
このような長文レビューを頂けたのは初めてで、何と言うか、感激しています🥹✨
最初はこのテーマを題材にしつつ、現在まだ発展途上の技術を織り交ぜ、最後はドンパチやって手短に終わらせようと思っていました。
ですが書いていくうちに、文庫本の一般的な文字数は10万字から12万字を目指してみようと思い、今に至ります。
月亭脱兎さんの仰る通り、「人間とは何か」という答えなき問いを私も抱くようになり、いまもその答えは見出せず、この物語の結末もまだ決まっていません。
ところで、月亭脱兎さんの「シンデレラ証券口座」、ほぼ同じテーマで私も短編執筆中です。
私にとってとても嬉しい偶然です。
どうか、今後ともよろしくお願いします✨