第14話
うちの洗濯機は20年使っていた。
2年前程からエラー音が鳴る事が増え
ついに買い替えた。
思えば、子供が保育園に入園した時に
今は亡き父が買ってくれた洗濯機だった。
当時はまだ布オムツの時代で、
夕方のお迎え時に
汚れたオムツを持って帰り、
次の日に
替えの布オムツを持って行ったものだ。
働きながら1人で子育てしている私を慮って、
父が、当時まだ出始めだった
乾燥機付き洗濯機を買ってくれたのだ。
それ以来、子供の
小学校時代のトレーナーも
中学校の制服やジャージも
高校の部活のユニフォームも
大学に通った洒落た洋服も、
せっせと洗って綺麗にしてくれた。
洗練されたデザインの
ピカピカだった洗濯機の蓋も、
何百回、何千回と開け閉めして
よく見ると
プラスチックが剥がれかけていた。
最後の洗濯。
タオルを洗って貰って、
部屋に漏れ聞こえてくる
聞き慣れたモーター音や水の音を味わった。
いよいよ終わる頃、
私は
うっかり他の家事に取りかかっていたが、
いつもなら聞き逃す、洗濯終わりの
6回の「ピー、ピー、ピー‥」という音が
いつもより鮮明に、耳に飛び込んで来た。
それはまるで洗濯機が
最後に私に
呼びかけてくれたみたいだった。
Days @ao_no1013
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