口出しが多すぎてゲームに集中できないんだが

平葉与雨

デビルクエスト

第1話 名前設定

 シューベルトの『魔王』みたいなBGMが流れ、テレビ画面に〈デビルクエスト〉と表示された。


「これ前からやりたかったんだよなぁ」


 鯨井くじらい六次むつぎはワクワクしながら【はじめから】を押した。


 *


 ——

 勇者の名前を設定してください。

 ——


 まずは主人公の名前を決める必要がある。

 RPGではよくあることだ。


「なんでもいいからランダムでいっか」


 六次は【ランダム】を押した。

 生成された名前はくしくも『勇者』だった。


 *


「おいおい、勇者とか嘘だろ?」画面の端にいた勇者が呆れている。

「んだよ、いいだろ別に」

「冗談じゃない。勇者が勇者ってやばいだろ」

「全然。むしろわかりやすい」

「おまえなぁ……」


 六次は嫌がる勇者を無視して【決定】を押そうとした。


 *


「待て待て!」

「なんだよ、うるさいな」

「そもそもランダムで名前決められるこっちの身にもなれよ! おまえだって適当な名前になったら嫌だろ?」

「現実ならな。これはゲームだから関係ない」六次はやれやれという感じで【決定】を押した。

「だる」

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