第3楽章 意思疎通
神楽坂は返事も禁じた。正確に言うと、
「君たちが今している返事はただ『聞いています』という意味だと思うんだ。そういう返事が必要な時もあるけど……。
人によっては、僕の意図することがすぐわかることもあるだろうし、ピンとこないこともあるんじゃないかな。そういう時は、もう一度説明してほしいでもいいし、言っている意味がよくわかりませんでもいいし、リアクションをしてほしいんだ。僕の言っていることがちゃんと飲み込めたか、どうかの」
部員たちが
「なるほど、それも一理あるね。
そもそもね。君たちと、コーチの
なんとなく
「そうそう、そんな風にさ。リアクションしてくれたら、僕はこの子は今の言い方で分かってくれたなーと思うし、こっちの子はピンと来てないな、ってわかるでしょ。
そしたら僕はもう少し別の方向から説明をしようって思うわけだよ。
同じことを言ってもね、言葉は人によって解釈が微妙に違ったりするんだよ。音楽ならなおさらだ。だから、君たちが思ったことを言ってくれていい。部活は、軍隊じゃないんだからさ」
―――――――――――――――
<今日のワーク>
友達と話していて、話が噛み合わなかったり、同じものを見ているのに感じ方が違ったことはないかな?
違う地図を持って歩いていたら、みんなそれぞれ違う場所に辿り着いてしまう。お互いの地図を見比べるところから始めよう。
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