看病イベント

 最悪だ。

風邪を引いた。

雨の中走ったりしたからだ。


この流れはマズい。

作者はきっと看病イベントに繋げてくる。


今、俺の家には誰もいない。

家族は俺を置いて海外旅行中だ。


常識的に考えて、なんだそれって思うような状況だが、この世界は作者のご都合によって成り立っている。

そんなことに文句を言っても仕方ない。


今はどうにかして家から抜け出さないと……。

体が酷く重い。


クソ、このままじゃきっと桜子がいつものように起こしに来て

「きゃあ! ちょっと大丈夫!? しっかりしなさいよ!」

的な感じで、ただの風邪なのに過剰反応しやがる。


とかなんとか言ってる間に、玄関の扉が開く音が聞こえてきた。

桜子は俺の家の合鍵を持っていやがるのだ。


ふざけやがって。

なんでただの幼馴染に合鍵を持たせるんだよッ!


「晶午~。起きてる~?」


だぁ~!

クソッ!

体が動かん!

逃げられねぇッ!

嫌だ嫌だ嫌だ来るな来るな来るな!


「晶午? え、ちょっと晶午、大丈夫!?」


はい、案の定この展開です。

畜生が。

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