第9話 由良水軍

木浪家の陣にて


「遥たち大宮のものはまだだろうか、」

「殿!大宮の若君より連絡が参っております!」

「おおっ。え?若?内容は?」

「それが、武装集団を見つけたため北の伊根に着岸するからそちらに行ってもらえな

 いだろうか。ということです。」

「宮津の海に武装集団??一体何処のどいつだ?」

「幸い、恐らく見つかってはいないと」

「良かった。今すぐ、伊根に行くぞ!」



「今すぐに宮津の海の武装集団の正体をあばかなくては。もしできるのなら味方にし

 たいものだ。」

「そんな素性のわからないものを味方にするのですか?」

「しかしだね、浜地よ。今は少しでも味方は多いほうが良いだろ?少なくとも敵には

 したくない。」

「それもそうですが、、、」

「それじゃあ僕直接交渉に行ってくるから。」

「え。何も洛様自ら行かなくても、、」

「こうすることで誠意を見せて味方になってくれるかもしれん。」

「わかりました、、、私も一緒に参ります。」

「いや、浜地はここでいない間の司令官として働いてくれ。」

その時、家臣が嬉しそうに走ってくる。

「正体がわかりました!舞鶴や丹後由良を拠点にする由良水軍と呼ばれる海賊衆で

 す。」

「そいつらは兄らには与してないよな?」

「ええ、城主様との接触はないものと見られます。」

「なぜ宮津に来ておるのだ。」

「そこはまだわかりませぬ。」

「それも含めて聞きに行く。何か持っていった方が良いものなどあるかな?」

「舞鶴にいたという知り合いに聞くと、由良水軍の者たちは酒と女を好むと聞きま

 す。」

「大事な領民を渡すわけには行かぬな。酒でも持っていこう。あと誰か家臣に屈強そ

 うなものはおらんか?」

「何人もおりますとも。すぐに連れてきます。」


しばらくして酒樽と屈強そうな男2人が並ぶ。

「ありがとう。では行こう。」


「あれが由良の船かな?」

「ざっと見て小早船が10艘程ありますね。何をしているのでしょうか。」

「じゃあ近づいてみよう」

近づいてみるにつれ、段々困った様子であることがわかってくる。

「おい!」

由良の者たちが一斉にこっちを向く。それにしてもなぜばか兄たちは気づいていないんだ?

「大宮のものだがお主らは誰だ?」

代表格のものが出てきて言う。

「儂らは由良の水軍じゃ。儂は由良家の当主、翔征(よしまさ)。もともと由良と由良

 の支流の舞鶴は協力して由良水軍を運営していたが、舞鶴の湾に入る部分にある、

 由良家の金ヶ岬を舞鶴のものが攻撃しよって、驚いて反撃しようと海に飛び出した

 ところ由良の館を奪われた。今儂らにはなにもない。そいで取り敢えずここで反撃

 の機会を伺っておった。」

おお、何も聞かなくても向こうから喋ってくれて助かる。あと相当恨みを感じているのか無茶苦茶口調が強い。

「しかも舞鶴の奴ら儂らの家族に家に何もかも奪っていきやがった。

 ということで、助けてほしい。」





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弱小領主の次男は妹とほのぼの生活が送りたい! @sagano

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