第23話
「これにはワケがありまして…」
そう言いながら困ったような顔をする藍を見て私も困ってしまう。
聞きたいことはたくさんあるのに状況が状況なもんだから、なにも聞き出せないのだ。
「様付けしてるってことは、こいつが藍の主人?けどこいつ平民だよな。なあ椎菜これどういう状況だ?」
「うーん、俺にもよくわかんないなあ。ねえ藍どういうこと?」
神2人がよくわからないと言った顔で藍と私を交互に見る。
「…チッ。お前らにバレんのが1番面倒だったんだよほんと」
長い前髪をかきあげながらはあっとため息をつく藍は普段からじゃ想像できない口ぶりだ。
「とりあえず双方に説明するから…。絲様、本日の授業後お時間いただけますか?」
「え、ええ、それはもちろんいいのだけど…」
「ではまた授業後に。とりあえずそろそろ生徒が沢山登校する時間ですので絲様は教室へお戻りになった方がよろしいかと」
「…そうね、ではまた…。先輩方も失礼致します」
さっさとこの場を離れてくれと言わんばかりの藍からの目線に居た堪れなくなった私は、いそいそとその場を後にした。
絡まり愛 絆奈 @hanna48
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