第18話

普通に考えて上級生の教室に行くことですら気が滅入るのに、それに加えてこの学園の異質なシステムも加わっているんだから余計に滅入ってしまう。



藍なら間違いなく朝のこの時間に教室に居るはずた。



けれど、問題はどうやって藍を呼び出してネクタイを渡すかだろう。



「運良く出てきたりしないかしら…」



かれこれ10分近く教室の前で立っているけれど、そろそろ登校ラッシュの時間だからタイムリミットがすぐそこまで来ている。



意を決して教室の中をチラッと覗いてみれば、そこに藍の姿はない。


「あれ、」



おかしいな。普段はもうこの時間には登校してるって前言ってたのに。



まあでもそれならそれで都合がいい。


藍が登校する前に下駄箱にネクタイを入れておけばいいだろうなと考えた私は、いそいそと階段へと体を翻した。



誰か来る前にはやくここを去らないと、そう思っていたのも束の間




「ほんとウザいなアイツら。ベタベタ触ってんじゃねえよ、汚れる」



「まあ、俺らの立場的にも媚び売れば自分の身が安全になるからね」



2つの足音がカツカツとこちらに向かって歩いてくる。

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