11.過ち
瞼の向こう側で輝く光を感じる
温もりの主によって自分の体が移動し、地面に仰向けになって倒れているのがわかる。
そして、体が地面に倒れる瞬間に、ドオオォーン!! と高層ビルが倒れたかのような大きな音が響き渡っていた。
地面にも凄まじい振動が走っていた。
間違いなく、エルザの振り下ろした光の剣による衝撃。
だけど、痛みは感じない。
体に怪我をしている感覚はない。
土煙を肌で感じながら、ゆっくりと目を開けた。
十メートルにも満たない場所で、地面が深く大きく
そして——土に
「ぐ、っ……アリシア様……」
クラウドは苦痛の表情を見せながら立ち上がり、私に手を差し伸べた。
「そ、そんな……」
私はクラウドの痛ましい姿を見て愕然とした。
ところどころ衣服が破れ、全身が火傷を負ったかのように見えている肌が赤く
考えなくてもわかる事だ。
私が無事なのは、クラウドが犠牲になって私を守ったからだ。
「外されたか。まぁいい、これでもう邪魔は出来まい」
エルザが不敵な笑みを浮かべて言った。
「クラウド、逃げましょう!」
飛竜は子供たちを乗せて遠くへ飛び立った。
彼等の魔法が届く範囲から外れたはず。
もう私たちがここにいる必要はない。
私はなるべく痛みを感じさせないように慎重にクラウドの腕を肩に回し、逃げる為に立ち上がった。
けれど——
「残念だったな。お前たちに逃げられる場所など何処にもない」
エルザが剣を向けて言った。
いつの間にか、私とクラウドは多くの兵士に囲まれていた。
エルザの背後に並ぶ無数の兵士。
半径五十メートルの円を描くように、 一〇〇人を超える兵士たちが剣と大きな盾を構えて私とクラウドを取り囲み、見据えている。
プレセアがユミル村を出てから、まだ一時間も経っていない。
兵士たちの到着がプレセアの見立てよりもかなり早い。
たぶん、エルザたちから何らかの形で連絡が行ったんだ。
こうなったのは私のせい。
私が軽はずみの行動を取ったせい。
私が素直にプレセアの言う事を聞いて入れば、クラウドも子供たちも危険に晒さないで済んだんだ。
「ごめんなさい、クラウド」
地面にしゃがみ、肩に掛けたクラウドの腕をそっと降ろした。
そして立ち上がり、
「あなたは必ず私が守るわ」
必ず守るとクライドと自分に誓った。
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