Ⅳ
1.決まり
話し合いを終え、夜が明けた翌朝、私はロキ君とマリアちゃんたちに、みんなが安心して暮らせるようになるまで一緒にいる事を伝えた。
「ほ、本当ですか……」
マリアちゃんは少し泣きそうになりながら聞き返した。
表情から、嬉しそうな感情と安堵した感情が伝わって来る。
きっと、今日から自分たちだけになるのがずっと不安だったんだと思う。
それなのに、マリアちゃんたちは迷惑になると感じたのか、私たちにこれ以上頼ろうとしなかった。
もし自分が子供たちの立場だったとしたら、同じように出来ただろうか。
一緒にいて欲しいって、守って欲しいって、言わずにいられただろうか。
おそらく無理だったと思う。
平和な日本で生まれ育った私は、この環境で生きていくだけでも弱音を吐いていたはずだ。
強い力を持った大人たちに対して、弱い子供である自分たちは守ってもらって当たり前だと決めつけていたかもしれない。
だから私は、心の底からマリアちゃんたちが立派だと思った。
「本当よ。だから安心して」
マリアちゃんの震えている両肩に手を置いて言った。
「あ、ありがとうございます……」
何度も言ってくれた感謝の言葉だけど、正直、あまり気持ちのいいものじゃない。
幼い子供たちに言わせてしまっている事が、逆に辛い気持ちになる。
子供たちは何も悪くない。何の責任もない。
これは不可抗力だ。
そんな
†
「お姉様、とりえず今日は私が飛竜に乗って近くにある居住地域の様子を見て来るわ。今度はお姉様たちが留守番をお願いね」
「私たち? 一人で行くつもりなの? 私かクラウドも同行した方がいいんじゃない?」
「大丈夫よ。そもそもお姉様はリーダーとして陣地にどっしり構えてなきゃ。こういうのは本来、私やクラウドの仕事でしょ」
「だったらクラウドも一緒に……」
「もう、クラウドを連れて行ったら誰がお姉様を守るのよ」
「う……」
すっかり忘れてた。
アリシアたちには仲間内で設定と言う名の決まり、ルールがある。
何か特別な事がない限り、メンバーの
そして護衛が二人以上必ず付く。
とある旅団を参考にした
基本的にアリシアは各章の終盤の山場に登場して活躍するのが定石だった。
「お姉様の気持ちは嬉しいけど、私たちは何よりもお姉様を中心に仲間を守る為にいるの。それはお姉様が一番わかってるでしょ?」
「そうだけど……」
「心配はいらないわ。危ないと感じたらすぐに退散するから」
プレセアはそう言うと、呼び寄せた飛竜に跨って空へと飛び立った。
大丈夫、だよね?
プレセアは、ああ言ってるけど、自分が
見た目は強気な陽キャでも、根は優しい素直な女の子。
きっとこれが、娘を持つ母親の気持ちなのね。
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