猫を拾ったのですが、異世界のイケメン剣士でした
千莉々(チリリ)
第1話 異世界から来た猫
このフワフワでキラキラしたグレーの毛質。小さな丸い顔に大きな目は、まるで人形のよう。それでいて、筋肉質でありながら少しムチムチした体格はうっとりしてしまう。あー、ずっと眺めていたい。ミロ、あなたは私の天使。なんて可愛い猫。
学校から帰ってきてずっと撫でながら、眺めている。あなたは不愉快そうな表情だけれど、尻尾はゆっくり振っているよね。へそ曲がりさんで、可愛い。
「いつまで撫でるの? 俺のこと、好きだよな」
「うん、大好き……え? 誰?」
「俺だよ、ミロだよ」
「なんで?」
猫って言葉が話せるんだったかな?空耳?妄想?夢?
ミロを見ると、上目遣いで口をへの字にした、いつもの猫が側にいる。
ミロが好きすぎて、とうとう頭がおかしくなったんだと宙を仰いでいると、ミロが更に話し出した。
「驚かして悪った。俺はある目的があって異世界から来たんだ」
異世界ってあの漫画やアニメにあるアレですよね。へー、ホントに?
まだ何が起こっているか分からないままの私にミロは淡々と話しだした。
◇
私は県立高校に通う2年生の西山桃香(にしやまももか)。趣味は漫画やアニメで、特技は中学で吹奏楽部だったのでクラリネットをたしなむ程度。
この猫、『ミロ』と出会ったのは1ヶ月前の10月初旬。高校の授業が午前中で終わり、自宅の最寄り駅を降りてからコンビニで卵サンドとミルクティを買い、お腹がすいたので公園のベンチで食べようとしていた。
すると木陰でゴソゴソ動く物がいたので覗き込むと、シルバーグレーの可愛い猫。よく見ると左前足にキズが。
「大変! 猫ちゃん、大丈夫?」
思わず拾い上げ、近所の動物病院に連れていった。
キズは大したことはなかったけれど、猫を拾って病院まで連れて行ったことに、帰ってから母親には少し怒られた。なんせ動物病院は治療代が高い。幸い母も動物好きなので、すぐ猫を撫でていたけれど。
「あの時は本当に助かった」
キズを負い手当てしたもらった事に感謝するミロ。
「俺のいた世界は、国同士の権力争いが起こっているんだ」
ミロはその世界では剣士で、キズを負いながらこの地にやってきたらしい。剣士なんだ。『カッコイイー』と想像し、ニヤニヤしている私に呆れ顔のミロ。長靴を履いた猫的な衣装なのかなって勝手に想像している。
あー、見てみたい。剣士のミロ。
さらに、ミロは語った。
「この地にいる妹を迎えに来たんだ」
ミロには5年前に別れた妹がいるらしい。妹は当時、10歳。ということは、現在は15歳で中3くらいよね。
5年前、命を狙われた妹をかくまうためにこの地に連れてきたそうだ。妹も猫よね。モフモフなのかなとニヤニヤが止まらない。
「この辺りの者に大切に育てられているはずなんだが……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます