第11話 悪澤博士
地球が形成されてから現在までの、約46億年の期間を地質時代という。長い期間「先カンブリア時代」が続き、5億4100万年前から「古生代」「中生代」「新生代」へと続いた。恐竜が生きていたのは、主に中生代という時代だ。恐竜の生きていた時代はさらに細かく分けられ、古いほうから「三畳紀 」「ジュラ紀」「白亜紀」という。最初の恐竜が現われたのは、今から2億3千万年ほど前の三畳紀の後半だ。「ジュラ紀」は最も恐竜が栄えた時代だ。恐竜は出現してから1億6000万年近くもの長い間栄えていたが、白亜紀の末、今からおよそ6600万年前にほとんどが絶滅してしまい、鳥類のグループだけが現在まで生き残った。
★☆
実は……この恐竜「スピノサウルス」出現の裏には、とんでもない真実が隠されていた。過去にさかのぼると思いもよらない真実が見えて来た。
良きライバルでもあり親友でもあった悪澤守と源五郎丸タケシは共に公務員技術者なのだが、若い頃一緒に大企業「ソラリス」(ラテン語で太陽の)に出向して一緒にロボット開発に取り組んでいたのだが、悪澤が重要書類を盗み出す現場を見てしまった。
「悪澤何しているんだよ。そんなことは絶対にダメじゃないか?」
「違うよ!チョッと勉強の為に借りてすぐに返すさ」
「そうかい。じゃー良いけど……」
そんな時に源五郎丸は海外への出張でアフリカに出掛けて行った。そして…6年の月日が流れた。
やっと日本に戻った源五郎丸はロボットの権威と持て囃されている悪澤に(飛びぬけて優秀だった悪澤だから当然だ)と思いながらも、ライバルとしては先を追い越されて残念という敗北感が入り混じった複雑な気持ちになった。
実は……悪澤は野心家で優秀な男だったので自分で独立してロボット開発をと、目論んでいた。そこで最新鋭AIロボットの重要書類が絶対に必要だったわけだ。
「ある日上司が慌てて研究所に駆け込んできた。機密資料が盗まれた。そして…保管してあった書類はすり替えられたもので我々が5年かけて研究したAIロボット開発資料とはかけ離れた古い資料だった。あの時は介護用ロボットに必死でAIロボットにまで手が回らなかった。その隙をつかれてしまった」
(ここで友達悪澤の名前を出したら悪澤の将来はおしまいだ。だが、我らの研究は日本の未来がかかった重要なロボット開発だ。どうしよう?)
「嗚呼……そう言えば悪澤君が機密書類の保管場所から出てきたのを見ました」
正義感にあふれる源五郎丸は友達を売る以前に、不当な行為をする悪澤の態度が我慢ならず正直に答えたのだった。
その頃にはとっくに悪澤は研究所を止めて、ロボット開発者の第一人者として持て囃されていたが、ある日突然警察官が家宅捜索の為やって来て全てバレてしまった。
こうして全てを失った悪澤博士は機密書類を盗んだ事によって窃盗罪になり略式起訴で罰金刑となったが、信用丸つぶれで会社も倒産してしまった。
その恨みは相当なものだ。
「全てが上手く行っていたのに、あの無能者源五郎丸のせいで、一生を棒に振ったわ。許せぬ!💢あやつを地獄に突き落としてくれるわ。本来ならば私の方が遥かに優秀だったにも拘わらず、あやつは国家未来ロボット技術研究センター所長で、外交官とは大した出世よのう。あやつを地獄に落としてくれるわ💢ふっふっふっふ!」
こうして復讐の鬼と化した悪澤博士。
★☆
およそ6600万年前、巨大な小惑星が地球に衝突し、恐竜は絶滅した。しかし、最新の研究によると「恐竜はいまだに私たちと一緒に暮らしているかもしれない!
かつて地球の王者だった恐竜は、本当にこの地球上から消えたのだろうか?
1969年、「デイノニクス」という恐竜の化石が発見された。そしてこの化石からは、「デイノニクス」という恐竜と、始祖鳥(しそちょう)という鳥の祖先が、なんと100種類以上の共通点を持っていたことが分かってきた。
この仮説は、当時の恐竜学者を驚かせるには十分だった。鳥と恐竜は共通点が沢山あるという事だ。
やがて…羽毛を持つ恐竜「シノサウロプテリクス」も発見される。しかし長い間、恐竜には最も鳥らしい特徴である羽毛がないと考えられてきた。ところが1996年に中国で、ついに羽毛がついた恐竜の化石が発見された。それが「シノサウロプテリクス」。
最近では、小型の肉食恐竜だけではなく、大きな草食恐竜の化石からも羽毛が発見され、羽毛は突然変異の結果ではなく、恐竜が持つ一般的な特徴であったことが分かってきた。
それでは、恐竜に羽毛は何故必要だったのか?という事だが、恐竜の初期の羽毛は、飛ぶためではなく、体温を保ったり、パートナーを誘惑したりするための手段であったと研究者たちが唱えている。
そして、小さな肉食恐竜のうちの一部が飛ぶことができる羽毛を持つようになり、その恐竜たちが、6600万年前の大量絶滅でも生き残って今の鳥になったというのだ。
多くの恐竜は爬虫類と思われがちだが、鳥類と爬虫類の遺伝子を持っていたと言っても過言ではない。これにいち早く着目した悪澤博士はワシとイグアナ(爬虫類)を交配させることに成功した。(ライオンとトラのライガー、シマウマとウマのゾースなどもある)
それも超巨大なワシとイグアナを交配させ「カルシウムパワー」という特効薬を注入し続けた結果18mに成長した。
「ワッハッㇵッㇵッ!やっと復讐の時がやって来た!」
このオスとメスが交尾を繰り返し繫殖して現在に至った。まあワシとイグアナを交配させれば「スピノサウルス」と言ってもあながち間違いではない。それだけ外見はよく似ているという事だ。またイグアナは水辺でよく見られるので特徴も一致している
「くっそ―ワシの人生を滅茶苦茶にした源五郎丸め許せぬ💢この『テルース王国』を滅茶苦茶に崩壊してくれるわ!」
こうして「スピノサウルス」事件へと発展して行った。
そして…何と実は……源五郎博士は死んでなどいなかった。捕らわれの身となっていた。
「タタタスケテクレ――――――ッ!」
更にはこの悪澤博士はとんでもない恐ろしい武器も用意して、アザーン王に立ち向かおうとしている。
次回最終話
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます