第33話 クリスマス・ホープ【後編】

美樹:「やっほーメリクリーケーキとケンタ持ってきたよーそれとボドゲとねー色々持ってきたよ、で私一人じゃ持てなかったから弟連れてきたよー」

そう言って美樹さんの後ろから来たのは男の子だった

美樹:「私と同じ心理臨床学科専攻で弟の将生だよ。」

将生:「どうも、愚姉がお騒がせしてます。」

美樹:「何よその言い方!!」

と将生を睨む美樹。

牡丹:「まぁまぁ、とりあえず上がって。」

美樹:「おっ邪魔しまーす!!」

将生:「お邪魔します」

そう言って上がってくる2人はリビングに入って行く。

美樹:「わーお!!結構立派なツリーだね、どうしたの?これ」

牡丹:「あー……これね、私たちのおばあちゃんたちが張り切って買ったんだって。お父さんが言ってたの。」

将生:「えっと……もしかして……天宮前防衛大臣?」

牡丹:「うん……そう。」

美樹:「戒斗は?」

牡丹:「まだ着替えてる……ほら例の件でさ……あれこれ覚えなきゃだから……」

将生:「戒斗さん何かあったんですか?」

牡丹:「まぁ色々と……うん……話したら長くなるかな……」

将生:「そうですか……すみません。言いづらいこと聞いてしまって。」

牡丹:「気にしないで、じゃあ準備しようか!!燐!!あれ用意できてる?」

燐:「うん、バッチリ冷えてるよ。」

牡丹:「みんな20歳過ぎてるし今日は飲みながら楽しむぞ!!」

リビングに居る全員がオー!!!と叫ぶ

僕も行かないと、皆と楽しむんだと不安定な心を落ち着かせながら1段1段階段を降りていく。

きっと過去の僕ならどんどんと輪の中心に入っていったのかな。

こんなに弱くて僕は何をするべきなのかも分からないのに参加していいのかが判らなくて怖い。僕だけがそこに居るのに居ない気分。

燐:「ほーらお兄もこっち来て呑も!!」

ほろ酔いの燐が呼んでる。

戒斗:「う、うん……」

将生:「戒斗さんお邪魔してます。」

美樹:「戒斗ぉーほらー戒斗も〜王様ゲームしよ〜」

酔いが回っている美樹が誘ってくる。

暖かい……でも良いのかな……

牡丹:「戒斗。大丈夫だから一緒にクリスマスを祝お?」

そうして、皆で仲良くゲームとか食べて飲んで盛り上がった。

数時間後、ほとんどが酔いつぶれて惨憺たるリビングを離れて僕は自分の部屋にいた。

牡丹:「戒斗。ここにいたの?」

戒斗:「うん……少しだけ…………ねぇ。」

牡丹:「何?」

戒斗:「前の僕ってどんな人だった?」

牡丹:「うーん……素直じゃなくて……でも誰より敏感で誰かが困ってたら助けてあげて……私の大事な人。でも今でも私からすれば大事な人だよ。」

戒斗:「ありがとう……」

窓の外は白い。水では無い何かが降っていた。

牡丹:「でも気にしなくていいよ。戻るかもしれないし戻らないかもしれない。どっちか分からないから。今を楽しんでよ。戒斗は戒斗。貴方は唯一無二でしょ?だからお願い。私の傍に居て。私は貴方がどんな貴方でも好きだから。」

そう言って牡丹は僕を抱きしめて、僕にかぶさった。

ゆっくりと口と体を重ねて。

この心の冷たさを溶かしてくれる様な熱い熱い夜だった

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