現代ドイツを舞台に繰り広げられる社会派ミステリ。網の目のように張り巡らされた謎と意外な展開の連続で、読めば読むほど闇の中に没入していくような快感を覚えます。
サイバー犯罪やマフィアの闇、麻薬中毒など、ヨーロッパ裏社会の暗部を描くリアルな描写もスケールが大きく、臨場感のある筆致が魅力です。
ストーリーと同時進行して、登場人物たちの人間味とその人生が少しずつ浮き彫りにされていくのも読みどころ。主人公の鑑識官クラウスと、その兄テオドールとの複雑な確執と血のつながりの重たさが、ヒューマンドラマとしても物語に奥行きを与えています。脇役たちもひとりひとり粒が立っています。
知的で端正な文章のなかにもふんだんにユーモアが混ざりこんでいて、緩急のある語りが飽きさせません。
本格的なクライムサスペンスと人間ドラマにどっぷりとはまりたい方に、全力でお勧めしたい作品です。