何も捨てることができない人には、何も変えることはできないのかもしれない。
仮想戦記。
長編を書くうえで邪魔になる煩悩を、没小説という形でここに排出している、という異色集。
排出という言葉選びが正確すぎる。設定を作りたい欲、戦艦を並べたい欲。それらは創作の原動力であると同時に、長編を殺す毒でもある。
毒とはいわば創作の裏側。とくに設定やクライマックスを作った時点で満足してしまうと、創作そのものがブレーキとして働くときがある。
書いたことがあるとあるあるである。
この排出された作品群が、作品の密度とは、削った量のことであると教えてくれる、というのです。
書かなかった物語を殺すから、残した一つが濃くなる。捨てる痛みが、そのまま作品の比重になる。
ここには、きっとあなたが捨てられなかったものが、全部捨ててあります。