俺が愛した人は愛を愛を知らない神様だった

知恵舞桜

第1話 プロローグ

この世には人の子が認知できないほどの数多くの神が存在する。


神々には数々の逸話があり、人の子では決してできないことを軽々とやってのける。


誰もが神は敬う存在だと認めている中で、ただ一神例外が存在する。


その神は神たちからも人間からも自分の配下たちにも嫌われていた。


いや、それ以外の種族にも嫌われていた。


なぜかと聞かれれば、その神の持つ能力が恐ろしかったからだ。


言い伝えによれば、その神は神々の王に選ばれ力を与えられるまでは普通の神だった。


そのときのその神はまだ嫌われてはいなった。


ただ、無口で不愛想だったため、常に一人でいたため、友達はいなかった。


別に誰かと一緒にいたいわけではなかったため好きに生きていた。


だが、王に選ばれ力を与えられると今までの生活とは一変した。


王の次に偉い四季の神の一神となるが、他の三神と違い、その神に向けられる目は恐怖だった。


生まれて初めて拒絶された神は自身に何が起こったのか理解できなった。


同じ四季を司る神たちは普通に接してくれるが、他の神は違い、逃げるように神々の楽園から遠く離れたところに向かった。


年に数回、四季の神たちと会うことはあっても他の神々と会うことはなかった。


そうして時が過ぎ、力を与えられて何百年たったかわからなくなったころ王の一言で、自分の司る季節がくるたび人間界に降り立つことになった。


神が降り立つことで人間界の季節は今までとは比べられないくらいはっきりと四つに区別され、それぞれの美しさが際立つようになり、愛されるようになった。


ただ、死を司り、すべてを終わらす力を持つ冬の神の存在だけは、どれだけ冬の季節が美しく愛されようと受けいれられることはなった。


このままずっと自分は誰にも愛されることはないのだろうと他人ごとのように感じていると、夏と秋の神が同じ時期に人間のものと付き合うようになった。


彼らは人間としての生を終えた後は、天界に住み、ずっと一緒に居続けた。


最初はどうでもいいと思っていたが、三百年経った頃、ふとそのことを思い出し人間について知りたいと思い始め、たくさんの人と関わったが誰か知られた瞬間、全員離れていった。


もう人間とは関わらないと人間界にある屋敷で冬が終わるのを待とうと帰っていいたそのとき、子供の泣き叫ぶ声が聞こえた。


聞き間違いかと冬の神は耳を疑った。


今いる場所はこの世界で最も吹雪が吹き、人間が足を踏み入れれば凍え死ぬか、魔物に殺されるかの二択しかないと言われているからだ。


冬の神は急いで子供を助けようと声の聞こえるところまで移動した。


間一髪のところで魔物に襲われていた子供を助けることができた。


腕の中で震える子供をこのままにしておくことができず、自身の屋敷へと連れ帰り、他の四季の神に助言を求め、どうすればいいか尋ねた。


子供が元気になると家族の元へと返した。


なぜ、危険な場所にいたのか気になったが、自分の隣にいるよりかは安全だと思った。


人間と関わるのはこの子で最後だと思い、二度と関わるのはお互いのために辞めよう誓ったのが十七年前。


それなのにいったいどういうことだ!?


秋の季節が終わり冬の季節が来るため人間界に降り立ったというのに、なぜか冬の神の屋敷に一人の人間がいた!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺が愛した人は愛を愛を知らない神様だった 知恵舞桜 @laice

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ