第6話

「お買い得とか、そうじゃないとか関係ないの……。私は、矢崎くんがいい。それだけなの」



一目惚れしたってことは、私が彼に惹かれたのは容姿なんだろう。


でも、容姿だけで人を好きになっても、好きでい続けることができたのは、彼の人なりを知ったから。


彼のする事なす事が、私の心に強く印象付いていった。……それだけ。



「お前が勘違いしてるだけかもしんねぇじゃん。矢崎がお前の思う男じゃなかったら、さっさと別れるんだろ?」



ひどい事を言うんだなって驚いた。


確かに私が知る彼は、彼自身のほんの一部でしかないのかもしれない。


でも、近付いてもっとたくさんのことを知りたいって思うのは、恋してる証拠じゃないのかな?


好きだから、そばにいたい。


好きだから、もっと知りたい。


女の子ならみんなそう思うんじゃないのかな?



「よく言うじゃん、付き合ってみて思ってたのと違った!っていって男振る奴。そう言うの、男側からしたらきっついぞー」



篤くんの言葉に思わず反論する。



「そんなの、付き合ってみないと分からないし……そりゃ、違ったら付き合い続けていくことは辛いじゃない。お互いに」

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