こんな夢を見た(第6話)

こんな夢を見た。


職場の団体バス旅行で千葉の奥の方に向かっていた。

帰りのバスに合流出来ることを条件に中抜けしても良いとのことだったので、私は彼女と千葉駅で下車した。


千葉駅はこんなに古びた木造駅舎だっただろうか。

雨が降っていたのでバスを降りて傘をさす。

他にも多くの同僚が中抜けするらしく、同じく千葉駅でバスを降りていた。


傘と人混みに紛れて彼女を見失った。

キョロキョロ見回していると、駅の入り口で向こうを向いていた人が振り返り、「私はここよ」と微笑む。


急いで彼女の元へ。

「何処へ行くの?」

と私が聞くと、彼女は、

「一時間くらい電車に乗ったところよ」

と答えた。


そんなに遠くでは、帰りのバスの集合時間に間に合わないよ、と私は言うが、彼女は大丈夫よ、と答える。


やがてホームに佐倉行きの電車が来た。


彼女は、こっちよ、とわざわざ私たちが立っていた場所から少し離れた扉より乗車する。


そこには子連れの若い夫婦が先に乗っていて、彼女と親しげに話を始めた。


知り合いなのかな、と思ったが私も特に質問はせず隣に立っていた。

すると若夫婦の女性が、

「あなたたたち、忘れ物は無い?アレは持った?無いならあげるわよ」

と聞く。


「いえいえ、大丈夫です」と私は答える。


やがて停車駅で夫婦は電車を降りて行った。


あれ?帰りのバスの集合って何時に何処だっけ?間に合わないと、彼女と二人で抜けたのがバレてしまう、と焦って荷物の中にある筈のバス旅行のチラシを探していたら、目が覚めた。

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こんな夢を見た たがやし当世 @tagayasi

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