第21話 ミチオ、永遠にミチオに転生す。

 さっ、ミチオ。

 入って来な。


 あっチョット待ってね、今電気を点けるから。



 どう?生まれ変わる、その直前の気持ちは?


 そう、そうよねえ。

 興奮するわよねえ。

 分かる。



 じゃあさ、アンタが今居る所、私達、従業宇宙人専用の聖域だからさ。このドアから、向こう側の求宇宙人が浮遊して並ぶトコに出てよ。


 そうそう、出たわね?

 そこから右に真っ直ぐ浮遊して進んで。

 今私達が居る、本館のブースの場所は“マイナス五京六億番”。

 ここからどんどんと番号が小さくなっていって、ゼロになってから初めてプラスの“一番”になるから。

 私のブース番号、ちゃんと覚えてるわよね?


 そう、『四六四九番』。

 私のラッキー番号。

 大丈夫。只、この途方に暮れる程に無限に続い、この廊下を浮遊してって。


 運が良かったら逢えるわ。

 私に。



「ップ!キャハッ!」


 冗談よ!

 じゃあ又後でね、ミチオ。



 今宇宙日、丁度コノ惑星が祝宇宙日で良かったわ。

 この職業安定所もダカラお休み。

 ホントだったら、無断に従業員が閉館中に建物に入ったら、懲罰モノなんだけど、私には関係無いわ。


「私が主体の物語だから、結局は私次第。」でしょ?


 この『ミユキ、職業安定所で働いています。』、お陰様で第二十一話。

 今現在、地球で七地球人が私の動向が気になって、定期購買契約を『宇宙書店』で交わしてる筈なんだけど、大体三〜四地球人が常に私を毎回見てる感じ。

 数はチト少ないかも知れないけど、そんなの問題じゃ無いわ。

 熱量の問題よ。


 あっごめん。

 脱線しちゃった!




 ミチオ、大丈夫?

 迷わなかった?


 じゃあ、サッサと始めましょ。

 これ私、アンタの為だけにする御給金が出ない仕事だからさ。

 ホントはココの重要な仕事の場面、実は色々な細かい描写があんだけどさ。

 本番で描く下準備は一切省く。

 金にナンナイから。


 イイわね?




『私コト、転職の神様、ミユキ。


 では。

 全く其の存在を否定されながらも、地球人人生を送って来たミチオ。

 アナタの行った自死。この行為自体は全く悪いモノでは在りません。

 が然し、其の自殺の動機内容がとても幼稚で、しかも他地球人達の貴重な残りの地球生命時間が、アナタの地球人身事故による事で電車が止まり、取り返しの付かない損をして居ます。


 ミユキはアナタの来世..

 この様に判決を下します。



 其のアナタが、生前最後に目が合った『オヂサン』。

 そのオジサンに転生させます。

 アナタは又イチから、そのオヂサン本地球人として生まれ変わります。


 アナタが見た『オヂサン』、ミチオはとても明るい性格で、幼少期から目立つ事が好きな地球人です。

 街金融の広告写真の『オヂサン』ミチオは、売れない小劇団の一俳優です。

 (イツカは脚光を浴びる!)

 その一途な思いを秘め、アルバイトを幾つか掛け持ちしながらも、絶対に叶う事無い目標に向けて、地球日々、精進して居ます。


『オヂサン』ミチオは、実はアナタ、ミチオ。

 今一度、母なる宇宙空間に戻り、又イチから『ミチオ』をやり直し、もっと自分自身を深い部位に至るまで突き詰める事。


 良い役者として大成する事、このミユキ、持ち合わせて居ない、心の底から祈ってます。

 デスが或る日、地下鉄の広告写真に写るアナタは、等身自殺を敢行した自身のミチオと、目が思わず合ってしまい、そのショックで鬱病になってしまい、自殺願望が芽生えます。


 ウフフ..

 以上。』




 じゃあ準備はイイ?


 イクわよ!



「ップッ!シュウウウウウウウウンンンンン!」



 いってらっしゃいッ!




 ミユキ

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