第14話
眞冬ちゃんとのお出かけはすごく新鮮だった。
「このお店の店員さんが相当イケメン」
店の選択理由はそれ。
「手芸屋さんに男の人がいるの?」
「いるよ。かっこよくって、優しい」
お店に入ると、なるほど確かにかっこよくて優しいお兄さんが私達をコーナーに案内してくれた。
「蘭、ああゆうのタイプでしょ?」
突然言われてビックリ。
「え!なんで?」
「いや、何となく」
そして布を選びながら私に聞いてくる。
「福本先輩と何かあったの?」
胸がドキッて言った。
別に隠してた訳じゃないけど、何となく言うタイミングがなくて、まだ眞冬ちゃんには話してなかった。
「どうして分かったの?」
「いや、いつもみたく、ゆきくんゆきくん言わないなーって」
しかも、指摘が鋭い。
「実はね……」
眞冬ちゃんに昨日のことを簡単にまとめて話すと眞冬ちゃんは笑う。
「へぇ。日高、頑張ったね」
「本当に最悪だよ!」
「でも日高って顔はかっこいいよね」
私はあまりの衝撃に持っていた商品を床に落としてしまった。
まふゆちゃんは冷静に拾う。
そして眞冬ちゃんは私に二本指を立てた。
「イケメンには大きく二通りあるの、知ってる?」
私が首を横に振ると眞冬ちゃんはそのまま淡々と続ける。
「鑑賞専用と接触加算。意味はその言葉のまま。日高は完全に鑑賞専用」
「ゆきくんは?」
「どう考えたって接触加算でしょ」
そして眞冬ちゃんは持論を展開し始めた。
「鑑賞専用ってゆうのは見てるだけのがかっこいい。
付き合いたいとは思わないってゆうか。
悪い意味でギャップありすぎとか、性格最悪とか。
あんたのお兄さんはそれの典型じゃん。
見てるのが楽しいタイプ」
私の頭に秀が浮かんで気分が悪くなった。
眞冬ちゃんは布を選び私と見比べたりしてる。
「接触加算は顔だけなら普通、まぁランクC以上。
だけど追加項目ありきでかっこよさが増すってゆう。
この追加項目はあくまでリアルな性格は置いといてさ。
福本先輩はギターが上手くて、足が早くて、笑顔がキラキラで追加項目が多いじゃん」
眞冬ちゃんって世の中をすごく機械的に観察してるな……。
「でさ。
人は自分と異質なモノに尊敬とか興味とか、特別な感情を抱くんだよ」
私はひたすら頷く。
「その特別な感情には警戒も含まれるんだよね」
購入する布が決まったのか眞冬ちゃんはふぅ、と一息つく。
「福本先輩、多分相当焦ってるよ」
「……焦ってるのかなぁ。
全然そんな風には見えなかったけど」
「そう見せないのが、あの人の魅力でしょ」
眞冬ちゃんはそう言って店員さんを呼んだ。
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