ん ーと…、好き!!
第8話
一週間後のホームルーム。配役決めがやってきた。劇は結局、シンデレラ。
「じゃあまず……。主役から決めますか」
美奈ちゃんはそう言って私を見てきた。
「……らん」
「ん?なあに?」
「あんた、シンデレラね」
私の思考回路が一旦、止まった。
「……へ?」
思わず聞き返す。
「だーかーら。あんた、シンデレラ」
皆もなぜか拍手だし。
都ちゃんに目で助けを求めても、拍手しちゃってるし。
まふゆちゃんに至っては爆睡。
「え?なんで?
都ちゃんとかのがシンデレラだよっ!」
「都は生徒会が忙しいから練習にあんまり参加できないし。
あんた暇だし、可愛いし超適任でしょ」
みんな自分がやりたくないからって……。
私に押し付けてるっ!
「やりたくないっ!」
「蘭、空気よめ」
寝てたまふゆちゃんがいつの間にか起きて不機嫌な声で言ってくる。
「さっさと決めたいんだよ」
寝起きのまふゆちゃんはちょっと怖い。
私が何も言わないのを良いことに美奈ちゃんは黒板に『シンデレラ―らん』って、書いた。
「じゃあー、王子役やりたいやつ―」
「俺がやる!」
笹内の言葉に重なるように立ち上がって手を挙げる。
「おれが王子やりたい!」
「じゃあ……、日高で良いか?」
……なんでっ?!
私は納得いかなくて美奈ちゃんのことを見る。
そんな私の視線に気づいてか、美奈ちゃんは他の男子を探す。
「笹内は?やらないの?いいの?」
だけど笹内は首を傾げ「なんでだよ」って、美奈ちゃんを見る。
「貴志が立候補してんだから問題ないだろ」
美奈ちゃんは知ってる。
私が日高をライバル視してることを!
だけど美奈ちゃんの努力も虚しく、王子が日高になってしまった。
私の王子はゆきくんだけなのに……!
「よろしくな、米倉!!」
大して席も近くないのに
わざわざそう言ってくる。
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