第3話

私はいっつもこの三人と学校では仲良くしてる。



「そんで?蘭。昨日、上手くいったの?」


美奈ちゃんは呼び出しボタンを押して私に聞いてきた。



「キスできた?」



小さく頷くと美奈ちゃんはまるで自分のことのように喜んだ。



「いえーい!」



まふゆちゃんはそんな美奈ちゃんのことを呆れた様に見ている。



「人の恋愛に介入するのの何が楽しいわけ?」



でもまふゆちゃんは彼氏いないのに私より色々知ってる。


この間、そう聞いたら「生きてく常識」とかっこよく言われた。



でも美奈ちゃんはまふゆちゃんのこと「耳年増」っていう。


みみどしまって、よく分からない……。



「ご注文お決まりですか?」



そう聞いてきた店員さんを見て私はビックリ。


そこにいたのはゆきくんの先輩の野上先輩だった。



「あれ、蘭ちゃん。どーした?」



野上先輩はいつもみたく明るく笑う。



「あ、都ちゃんもいんじゃん!

久しぶり、覚えてる?」



都ちゃんは小さく頭を下げる。



「高校生になったんだなぁ。人は成長するなぁ」



野上先輩は去年、卒業してしまった。



「じゃあ遅くなったけど、ここは入学祝っつーことで、俺がおごりますか!」



そして美奈ちゃんと眞冬ちゃんのことも明るく笑って見てから「君らも入学おめでとう!」と、注文を受け後ろに元気に戻って行った。



「今の人、結構よくない?」



眞冬ちゃんが美奈ちゃんに乗り出して聞く。


美奈ちゃんは首を傾げ「そぉかー?」と、水を飲む。



「中の中って感じ」



そんな美奈ちゃんに眞冬ちゃんは「顔はね」と、水を飲んだ。



「でも筋肉が。

腕とかちゃんと見た?


あれは相当鍛えてる。

体でいったらAクラスでしょ」



眞冬ちゃんは男性のことをすぐに評価します。



「それは何基準?」


「一般基準。

でもあの体だったら芸能基準にしてもCだね」



そして基準は一般基準と芸能基準ってゆうのがあって基準によって付け方が違うんだってさ。


芸能基準のが厳しくなる。



「体で言ったらって……。

そんな見方、失礼だよ」



都ちゃんは下を向き小さく呟いた。



「野上先輩、良い人だよ」



都ちゃんの彼氏の泰睦は野上先輩の親友の弟らしい。



「今日もおごってくれるなんて、すごく申し訳ない」



美奈ちゃんは笑いながら平然としている。


そして私を見て楽しそうに聞く。



「フクも相当、良い体だよね」



フク=ゆきくん。



「ね、眞冬?」


「そうだね。かなり鍛えてるよね」



都ちゃんは恥ずかしそうに、どんどん水を飲み進める。



「ねぇ、蘭。そうだったでしょ?」



美奈ちゃんの発言に、とうとう都ちゃんが怒る。



「美奈ちゃん!そうゆう話は良くない!」


「えー、何でよ。

べつにそれ位良くない?」



だけど私は首を傾げてしまった。


「ゆきくんのからだ……?」



野上先輩がカレーを四ついっぺんに持ってくる。



「はい、おまたせー」



美奈ちゃんは野上先輩が行ったのを確認し私をマジマジと見る。



「え、あんたまさか昨日、キスしただけ?」



私が頷くと眞冬ちゃんはまた鼻で笑う。


都ちゃんも何故かビックリしている。


「家でしょ?

それだけで福本先輩何もしてこないの?」


何もって意味もよく分からず。



「だから、キスしたよ」



私の発言に眞冬ちゃんがカレーを食べながら目を細め、私を見る。



「やっぱり蘭にはそこがギリだったかー」



美奈ちゃんもコクコクと頷く。



「ま、これ以上はさすがに昨日の今日では言えない」



美奈ちゃんはとっても楽しそうにしている。



「つーか私が男だったら確実に蘭のこと襲ってるー」


美奈ちゃんの発言にまふゆちゃんはシカト。



「何も知らないし可愛いし、超一途だし。

騙される典型だよね」



「あんたも相当な変態」



まふゆちゃんは残りの水をのみきる。



「でもまぁ福本先輩で本当、良かったよ。


バカな男だったら完全に誘ってるって勘違いしかねないし」





この時は正直まふゆちゃんの言葉はあまり理解できなかったけど。



今となっては思います。



確かに私は無知で愚かだったね。

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