第2話
そうやって楽屋で盛り上がってたらメンバーの彼女と淳士が楽屋に入ってきた。
「差し入れでーす!」
「……なんであっちゃんが一緒にくるわけ?」
大澤が不機嫌そうにしおりんの隣に行く。
「秀ちゃんとか疾風くんとか、何でそっちと来ないの?」
「秀と疾風は場所取り」
淳士は大澤にため息をつく。
「かずまさ」
大澤が何か言いかけた時しおりんが一歩、前に出た。
「制服、似合ってるね」
笑顔でそう言うしおりん。
いやいや……、似合ってねーだろ?!
「……そう?」
だけどそれだけで大澤の機嫌は良くなった。
……なんて単純。恐るべし、しおりんパワー。
「ゆきくーん!」
今度は横から楽しげな声が耳に届く。
「ヤンキーみたいでかっこいいねぇ!」
蘭の言葉に苦笑ぎみなフク。
「いや……、どうかな……?」
「かっこいいよ!
全国の不良がゆきくんくらい格好良かってら、警察もビックリだねっ!」
楽屋全体が妙な沈黙に包まれる。
だって、意味分かんねーもんな。
だけどフクは笑顔で蘭の頭を撫でた。
もうフクのポジションは彼氏っつーより……、保護者だな。
「結奈ちゃん!この眼鏡、どう?!頭良さそう?!」
カクはウキウキしながら結奈にそう尋ねる。
「あたま悪そう」
結奈は冷静な態度でカクのことを見て言った。
「えっ?!なんで?!超がり勉っぽくない?!」
「がり勉っぽいけど頭、悪そう」
なんて的確な言葉。
確かにカクは頭、悪そうに見えるな。
「俺、頭良くみせたいのに……」
「でも、似合ってるよ」
結奈はそう言って恥ずかしそうに頬を赤くする。
こいつ、意外と可愛いよな。
俺はそうやって椅子に座って皆のことを眺めてたら、淳士が俺の隣にコソコソとやってきた。
そして淳士はスズを指差し、勝ち誇ったように言う。
「せんぱい、やっぱ似合ったでしょ?
俺の推測は正しかったすね」
何かムカつくので淳士の頭を叩いた。
「いって!何すか?!
可愛いんだから良いでしょ?!」
「スズをそうゆう目で見て良いのは俺だけなんだよ」
ふと、スズと目が合ったのでニコーと笑いかけると、スズが俺の方に寄ってくる。
「何かあったんですか?」
「いや、別に?
スズは可愛いなぁって淳士と話してた」
淳士は適当に頷く。
そして全員、楽屋からぞろぞろと出ていった。
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